【4万PV達成!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
吉野 ひな
第1話
「ふぅ~、今日も疲れた~」
私、
ズガァーーン!?!?
ゴギャガガガッッ!?
「なんの音!?」
突然響き渡った不可解な音に、私は狼狽した。だがその音は、私が歩いていた歩道が原因だった。亀裂が入り、裂けたのだ。私の足元で。
「…は!?」
あまりの非日常な出来事に、反応が遅れた私は、亀裂の裂け目に呑まれたのだった。
「うわあぁ〜!?」
♢
「‥‥ださい。起きて下さい!」
なにか聞こえるが、すごく寝心地が良いお布団は離したくない。
「だめ‥もうちょっと‥‥」
「お願いですから、起きてください!」
「あと5分‥「起きてください!」‥おっとぉ!?」
微睡みの中で感じた不穏な殺気に、私はその場を飛び起きた。
眠りから覚めた私の目に映ったのは、わたわたと慌てているゴージャス美女だった。
金髪にエメラルドの瞳は、とっても綺麗。服はキトンみたいなやつを来ているが、もしかして、ギリシャにトリップしちゃった?
「殺気したんですけど!?っていうか、ここはどこ?」
「ここは、神界。私は女神ウルシア。貴方がいた地球とは異なる異世界です」
「なんでそんな場所に!?」
「亀裂に飲み込まれたことを覚えていませんか?」
「……」
なんて恐ろしい事を言うんだ、この人は。亀裂に飲み込まれたら、生きていられな……あ〜、そういうことか。
「地球のとある神と喧嘩したのですが、手加減を間違えてしまいました」
テヘッと舌を出す女神。ほんと、いい加減にして欲しい。人一人の人生を終わらせておきながら。反省しているのだろうか?
「…また、地球の神と喧嘩かのぉ?」
「ひっ!?創世神様!!」
しわがれた…だけど威厳で深みのある声に、美女は怯えた。あれ、またなんか増えた??しかし創世神様とは…いったい、なにが起きてるの?
「‥説明するのじゃ、女神よ」
「はぃぃ!!」
女神と呼ばれた女性は、背筋をピンッと伸ばし、身振り手振りで必死に説明をしていた。私のことは、完全空気である。ついでだから、一緒に説明を聞いたよ。
女神が話した内容はこうだった。地球神の誰かさんと喧嘩をしたまではいいが、つい力加減を間違えて放った神気がスパークしてしまい、地割れ発生。そこへ私が落ちたらしい。はは。そりゃ、一発KOだわ。
「すまなかったのぉ。お嬢さん」
説明を終えた女神に背を向けて、こちらを振り返った老人は、私に頭を下げてきた。
仙人みたいな杖を持つお爺ちゃ…創世神様。お口に蓄えたお髭は、喋る度にモコモコと動き、可愛い。
「‥え?いやいや、悪いのはそちらの女神さまですよね?創世神様は何も悪くないですよ!」
「‥それでもじゃ。儂には、こやつの監督責任があるでの。儂は、この世界の創世神ガイアという。管理は、そこの女神に任せとるがな」
その表情には後悔の色が強く現れ、沈痛な面持ちになっていた。瞳は、立派な眉毛に隠れ気味であまり分らないけど、声音が沈み気味だ。
女神?バケツを持って、立たされてますね。昭和かよ!?
「‥‥そうですか。私は寺尾美桜といいます。それで私は、元の世界に帰れそうですか?」
駄目元で、ガイア様に聞いてみる。死んでるから無理だと思うが、流れ的にはお約束だよね!
「すまんが、お主の身体は地割れの底に飲み込まれてしもぅた。今は、魂だけの存在じゃ」
はい、キタコレー!!
異世界あるある殿堂入り「神様のドジで異世界転生or転移しちゃった!」の状況にワクテカしながら、神妙な顔つきを作る。雰囲気作りは大切である。
「お主も好きじゃな‥‥」
しかし、先程の表情とは打って変わって、今は呆れた表情を隠すこともせずに、私をジト目で眺めていた。
「え?なにがで‥‥あ~、心の声がだだ漏れなんですね」
神界あるあるじゃん!忘れてたわ。
私は自分が思っているより、興奮しているらしい。ラノベを読み漁り、いつか私も異世界に‥なんて夢を見てはいたが、ほんとに訪れるなんて思わないジャナイカ!!
「その異世界あるあるバイブルの知識があれば、今後の展開は分かるじゃろ?さぁ、世界の転生を望むか?また、スキルなどの希望はあるかの?」
そんなガイア様の言葉を皮切りに、ブォンッ!と音を立てて現れた、透明なボード。
フゥ~!選択タ~イムッ!などと舞い上がっていた私は、後に訪れる悲劇など知る由もない。
「さてさて、私のスキルをどうやって決めようかな?」
「うむ!これが、現在のお主のスキルじゃな」
パチンッと、指を一鳴らし。なにやら、文字が浮かび上がる。
『スキル 行儀作法4 事務処理5 商談4 体術4 剣技3 語学4』
「お主は魂の状態だからの。スキルのみの表示にさせてもらったからの。ちなみに1が初心者、2が初級、3が中級じゃ。お主が一番多い4は上級じゃな。5が達人じゃのぉ。お主は商会向きか?」
「そうですね。日本では、多忙な会社員でしたし。異世界ではどこかに定住して、たまに旅をしたいですね。そうすると、冒険者か商人ですかねぇ?‥兼業もありかな?」
「ふぉふぉふぉ!夢が広がるのぉ」
私がこれからの生活を想像して模索していると、ガイア様は、威厳ある長い長い顎髭を撫でながら声高らかに笑った。
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