死に戻り公女は繰り返す世界を終わらせたい
藤烏 あや/ビーズログ文庫
序章
雪うさぎのような少女が
「ありがとう。リリー」
えへへとはにかむリリーの頭をご
「お母さまもリリーもこんなに待ってるのに、お父さまは今日も来ないの?」
「あらあら。そんなことを言っては
リュビアン公国の公主から
しかし、母は一度も不満を
そのバラは母の名を
自身が持ってきていないはずのバラを見て、リリーは
「お父さまも、お姉さまもきっとリリーが
「そんなことないわ。みんなリリーのこと大好きよ」
「じゃあなんでお姉さまはリリーに会ってくれないの?」
「うーん、まだリリーには難しいかもしれないわ。でもね。今は
っとお
マルベリー色の
「いい子にしてたら、お姉さまと
「えぇ。これからもいい子にできるようにお守りをあげる」
そう言って母は宝石箱から取り出したピアスをリリーの手にのせる。
リリーの手のひらの上で
「……きれい」
「これはね、母様がお
「お祖母さまから……? とっても古いってこと?」
「ふふっ。そうね、とっても古いのよ」
「このピアスは母様の一族が代々受け
「姉さまも守ってくれる?」
「もちろんよ。さっきソフィアにもネックレスを
「うん! わかった! 姉さまと大切にする!」
元気よく
「いい? もしリリーが心の底から助けてほしいと思った時はピアスにお願いするのよ」
「ピアスに、お願い……?」
「そう。お願いするのよ。そうすればきっとクロノス様が助けてくれるわ」
「クロノス様?」
「母様の一族が代々
公主に
「じゃあクロノス様にお願いしたらどうなるの?」
意味が分からず首を
「そうね……。きっと不思議なことが起こるわ。でもどんなことが起こっても
で。……もちろんお願いするような事態にならない方がずっといいのよ」
「んー? よくわかんない!」
「今は分からなくても忘れないで。将来、リリーに大切な人ができたら二人で分け合うの。子どもが生まれたら、今日の母様のように教えてあげてね。母様との約束」
いつになく真剣な母の姿に
「きっとピアスが幸せを教えてくれるわ」
「……
小さな声だったが、狭い部屋にはしっかりと
身を
アクセサリースタンドで赤紫色に輝くそれは、夢で見たままだ。
心温まる思い出に
「リリアンナ様。お
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