繋いだ手を離さないでいて

就職と別れ

私には高校2年から付き合っている彼氏がいる。

高校時代いつも一緒にいた私たちは校内でも公認のカップルだった。

卒業すると私は短大へかずくんは専門学校へそれぞれ進学。学校にバイトに忙しくしながらもかずくんとの交際は順調に続いていた。　

私は短大を無事に卒業。幼い頃からの夢を叶えて保育士になった。

子どもと過ごす日々は楽しい。勤務時間は朝早くから夕方まで。時には居残りもあって毎日クタクタだった。

帰ってきてご飯を食べてお風呂に入ったら布団へ直行。そんな生活でも自分が好きな職業に就くことが出来て毎日が楽しかった。

かずくんも夢を叶えて自動車整備士になった。

お互い忙しくてなかなか会えない。会ってもどちらかの家でまったり過ごすことが多くなった。

社会人としての生活に慣れるのに必死で自分のことで精一杯。お互いのことを考える余裕なんてなかった。

段々と会うのが億劫になってきて、時間がすれ違えば気持ちもあっという間に離れていった。

どちらからともなく、お互いが同時に思った。

「別れよう」

寂しいとか、悲しいとかはなかった。嫌いになったわけでもなくただ会わなくなっただけ。そんな感じだった。