大人になる
「すごいね、あの2人。」
「まぁな。って北川も散々食べたじゃん。」
「それは確かにそうだけど...... 」
「理由は何であれ、卒業した生徒の元気な姿を見られるのは教師としては幸せなことだよ。」
話しながら歩き出す先生。
「何かに悩んだ時に俺のこと思い出して頼ってくれるのは嬉しいよ。」
「それが焼肉でも?」
「ははは。さすがに今日は高かったな。新しく食べ盛りの北川も増えたし。」
「そうだよね。私が来たから今までより高くなっちゃったよね。先生、ごめん! 」
「そんなこと気にしなくていいんだよ。俺はお前らの顔を見られれば嬉しいんだから。困ったことがあればいつでも連絡してくるんだぞ。俺はいつまでもお前たちの担任だからな。」
「わかった。」
「でも北川が就職して給料もらえるようになったら、ラーメンぐらい奢ってもらいたいけどな。」
「うん。そうなったら絶対先生にご馳走する!」
「楽しみしてる。」
話しているうちに駅に着いた。
「先生今日は本当にごちそうさまでした。」
「おぉ。就活頑張れよ!保育士目指してるんだろ?」
「覚えてたの?」
「当たり前だ。教え子のことはちゃんと覚えてる。就職決まったら知らせろよ!」
「うん。先生も元気でね!」
「おぉ。じゃぁな。」
そう言って先生は来た道を帰って行く。私をわざわざ駅まで送ってくれたのかも。
先生は高校時代に話した将来の夢のこともちゃんと覚えてた。
アンナも栄養士になるって話してた。菜乃は東京で就職したいけど彼氏と離れちゃうからって悩んでたな。
私たちも来年の4月からは社会人。もう子どもじゃない。自分が就職するなんてまだ想像つかないな。
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