第四節

第四節 SCENE-001


 日頃の習慣を崩すことなく、夜が明けてから床についた双子が起き出す頃には、訪問の時間帯を聞かされていなかった来客は、既に母屋へ通されていた。




 ご挨拶を、とシズに促された双子が神子みこ装束――〝国津神の子〟としての正装に着替えて床の間のある座敷へ顔を出すと。そこには、一組の男女が座っていて。


「やだ。この魔力って――」


 席順と、それぞれが体にまとっている魔力のニュアンス――討滅士として慣らした肌感覚で、おそらく人化した龍・・・・・だろうと鏡夜が予想した金髪の女が、座敷へ足を踏み入れた双子の姿を視界に捉えるなり、信じられないものでも見たよう目を瞠り、隣に座っている男の袖を引く。


「ねぇ桐生きりゅう。この子たち、黒姫奈まきなと同じ魔力だわ!」


 その瞬間、伊月の感情に不快な波が立つのを、鏡夜ははっきりと感じた。



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