エリーマイラブ

 えりが二人いる、と言われても驚きはしなかった。

 昔から手柄は自分のもので、失敗は人のせいが鉄板の母だ。自分のしくじりを、いつものよう私に押し付けたのだろう。

 私が母に、処方されたより多い薬を出して飲ませたようとしたと。

 正しく自分の薬の準備が出来ない日のある母の薬の修正をしているのだが、母にとっては、間違った薬を出していく私と、正しく直していく私の二人がいるらしいのだ。自分が薬を間違えて出しているなどありえないのだからお前だ、と。


 さすが「どうして自分の娘を私が褒めなきゃならないの?」と平然と言っていただけはある。万が一の事になった場合、その証言で娘に人殺しの容疑がかかるという事に対して躊躇いが無い。「親以外の誰が子供を褒めるの?」と言ったら母は黙ったけれど、それは図星を突かれて気まずかったとかいう可愛いものではない。口答えされて不機嫌になっただけ。「なんで黙ってハイって言えないの!」とか、平然と言う人なので。

 いつもの事なのだ


 だから私だけは私を愛してやらないといけない。それすら面倒だと思ってしまうから困るけど。

 よーし、頑張ってネットショッピングしちゃうぞー。




 それとも私の生霊?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る