第4話:迫りくる脅威

バレットウルフを撃破した拓真はギルドへ戻り、報酬を受け取っていた。




「タクマ様ですね。バレットウルフを討伐、お疲れさまでした。報酬はこちらになります。」


「ありがとう。また頼むよ。」




バレットウルフの討伐は場所も場所でかなり危険だったため報酬はかなり大きいものだった。並の生活ならば一ヶ月程度生きていけるほどだ。そんな拓真をギルドの者たちが見逃しておくはずもなく・・・




「おいお前強いらしいな。うちのメンバーに入らねぇか?」


「あいにくそういうのは断ってるんでな。すまない。」


「そうなのか・・・。残念だ。いつでも歓迎するからな。」


「考えておく。」




拓真はそんな誘いを軽くあしらい、用のある場所へ向かう。その場所というのが、ソラリスから北西に位置する王域『アルデンテス』だ。王域には様々な王格が存在しており、そこにとある魔剣も存在している。その魔剣の名は下克剣『スレイ』だ。下克剣の効果は単純で、自分よりも高い格の種族に対してダメージが2倍になるというものだ。その下克剣を手に入れるため、王域に足を運ぶことにしたのである。


なぜ急に王域を目指すことになったのか、その理由は4時間前に遡る・・・・


ランドルレインの森から王都:ソラリスに戻る途中の出来事。




「バレットウルフ・・・。なかなか手強かったけど、やっぱり秘匿剣は強いなぁ。ゲームの時もそうだったけど、やっぱり俺の味方だねぇ秘匿剣・・・!」




そんな独り言をつぶやいていると突然声を掛けられる。




「そんなにその剣が好きか。ならばその運命、我が紡いでやろう。」


「なんだおま・・・!お前は・・・!」(確かこいつは・・・運命王:ダイラゲート・・・!)


「ほう?我を知っているか。これもまた運命。」


「かの運命王様がか弱き人間たる俺に何か用か?」


「我が君、全能神:ガイアス様より賜った勅命である。貴様の持つその極滅剣を奪え・・・というな。」


「へぇ~。極滅剣ねぇ。知らないなぁ・・・!」


「この期に及んで嘘を吐くか。愚かな民よ・・。その愚かで卑しい運命、我が断ち切ってやろう。来い!!運命剣『ガイゴード』!!我が運命に応えよ!!」


「おっとぉ・・・?いきなりバトルかい・・・?」(ここで運命剣か・・・!あれには全ての運命を断ち切る能力がある。もし俺と極滅剣の運命を断ち切られたら・・・その時はまずいな・・・。)




ダイラゲートが運命剣を抜いた瞬間、拓真も剣を抜く。もちろん極滅剣は抜けない、獣殺剣も効果はない、消去法で抜いたのは・・・




「一緒に戦ってくれ・・・!秘匿剣『ハイド』!!」


「まずは秘匿剣か。いいだろう。我が運命剣とどちらがい強いかな?試してみるとしようか・・・!」




その刹那、ダイラゲートが爆ぜるような踏み込みを見せる。そして剣を高く振り上げそれを勢いよく振り下ろす。それを見ても拓真は眉一つ動かさない。なぜなら、秘匿剣があるからだ。そのはずだが・・・




「ごふぅぅ!!な・・・なんだ・・・?」(まずい・・・ダメージを喰らった・・・!)


「ふははははは!貴様が秘匿剣を使おうと運命を断ち切る運命剣には敵わんのだよ。貴様が秘匿剣で受け止めたという運命を断ち切ったのだ。」


「ごはぁ!!そういうこと・・・か・・・。」




その時、バタン・・・と音を立てて地面に倒れ伏す拓真。




「ここで・・・死ぬのか・・・。」(くっそ。ヘマしたな・・・。ここで終わり・・・か・・・。)


「ふむ・・・。貴様には面白い運命があるようだな・・・?少しでも傷かつけば死ぬ・・・か・・・。ふふふ・・・はははははは!!」


「なん・・・だ・・・?」


「面白い!面白いぞ人間!貴様の運命によれば貴様はこの場で死ぬ予定だ。その運命、我がここで断ち切ってやろう。」


「な・・・に・・・?ごはぁぁ!」


「それでいいかな・・・?愚かな人間。貴様の運命が、ここで変わるのだ。」


「やれるもん・・・なら・・やってみろ・・・!」(俺にそんな運命があったなんてな。ただの決まりかなんかだと思ってた・・・。)


「では始めよう。さぁ運命よ。我が秘術によって断ち切られん・・・!『ダイラゴードン』!!」




周囲に光が満ち、それが拓真に向かって集まっていく。その光が晴れた時にはダイラゲートの姿はなくなっていた。だが、拓真の脳内に直接話し声が聞こえてきた。




『体は回復させておいたぞ、これは面白いものを見せてもらった礼だ。そして、魔術を使えない運命、これはそのままにしておいたぞ・・・?面白いが、これ以上はな・・・?いやはや面白かったぞ人間!再戦の時はもっと楽しませてくれ・・・?』




拓真は何事もなかったように立ち上がる。




「俺の運命を断ち切ったのか・・・?これで少しの怪我で死ぬことはなくなった・・・のか・・・?とりあえず・・帰ろうか・・。」(それにしても、全能神に目をつけられたか・・・。これはもっと強い魔剣を手に入れないとだな。魔剣だけじゃない、聖剣や魔道具もだな・・・!まずは王域にある下克剣から行くか。)




こうして拓真は王域に向かうことになったのである。ここから拓真はあり得ないほど壮絶な戦いに巻き込まれていくことになる・・・・


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