第6話 不協和音
無事(?)間宮さんとの話を終えた俺。
あとは残りの授業を受け、木滝さんの練習に付き合うだけ......なのだが、何故か木滝さんの様子がおかしい。
俺の自意識過剰なのかもしれないが、木滝さんに避けられている気がする。
学校生活の中で、あまり話さないというのならわかる。
ただ、俺がロッカーから教科書を取り出すために移動したり、ホワイトボードを見に行くために移動すると、木滝さんが俺とは逆に方向に行くのだ。
木滝さんがそっちに用があるのなら、それは本当に俺の自意識過剰だが、木滝さんは俺とは逆の方へ移動しても何かしているというわけでは無い。
避けられるようなことはしていないはず......
俺は、自分が気にしすぎているだけだろう、という結論にした。
□
なぜつまらない授業の時だけ、こんなにも時の流れが遅いのだろうか.....
残りの授業をウトウトしながらも受け終わり、俺は日曜日に約束した音楽室へ行くっている。
どうやら吹奏楽部は、音楽室よりも誰もいなくなった教室を使うことが多いらしく、滅多に使わないらしい。
そして、昼休みに時々聞こえるピアノを弾いている人はは、暇な音楽の先生らしいので、放課後は吹奏楽部の顧問という立場であるので、先生も音楽室を使うことはないらしい。
なので音楽室を放課後に使うのは、特に問題は無い。
授業の時の残った眠気を抑え、音楽室に入るが誰もいない。
「あれ? おかしいな......」
木滝さんは俺よりも早く教室を出たはずだ。
どっかで誰かと話しているのか......
それとも、どっかで先生に捕まってしまったのだろうか......
どちらにせよ、木滝さんは約束を無言で破るような人では無いはずだ。
いつかは来るだろう。
そう思い、木滝さんが来るまで待つことにした。
□
私はどうすればいいのだろう。
昼休み、私は優香ちゃんと真波くんの、屋上でのやり取りをはっきりとは聞いていないけども、聞いてしまった。
優香ちゃん必死そうに何かを言う声、真波くんの「わかった」という一言......
優香ちゃんは八葉矢くんのことが好きだったはずだ。好きだと思っていた。
だけど、優香ちゃんは真波くんと屋上で話してた。
それはきっと━━━━━
そう思うと、何故かまた胸が痛くなる。
自分でも驚く程にこの先を想像したくないし、知りたくないと思っている。
けど、知りたくなくても、それが現実。
多分、私は2人にとって邪魔な存在だと思う。
文化祭に出るための練習と称して、真波くんを狙っている女。
そういう風に、優香ちゃんから思われるかもしれない。
そうでなくとも、私は2人のための時間を奪っている邪魔者であるということは変わらない。
優香ちゃんにも、真波くんにも嫌われたくはない。
なら、二人の関係を壊さないようにするしかない。
そして、そうするためには━━━━━━━━
「ごめん、真波くん。私やっぱり、今日は行けないや」
もちろん、そこに真波くんはいない。
だから、どれだけ謝っても今の行動はただの独り言でしかない。
けど、真波くんと顔を合わせてそう言うのは、今は出来そうにない。
私は、今の不思議な感情を振り切るかのように、早歩きで下駄箱の方へと向かっていった。
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