嫌われた吉英と嫌いな星宮
@Esin
第1話 嫌い
「大っ嫌い・・・」
隣の席の美少女はそう僕に言い放った。
Episode1:嫌い
僕の隣に座っている女の子は、可愛い。
気を抜くとすぐに隣を見る。そして彼女の綺麗な横顔に心打たれる。
綺麗な茶髪の高く結んだポニーテール。綺麗な青色の瞳。色白で、校内でも有数の美人。そんな彼女が、運よく僕の隣に座っている。
「吉英、部活だろ。早くこいよ」
仲良くしている友達が呼びかける。
「うん。今行く」
僕は、急いで机に散らばった筆記用具やら教科書を片付けて教室を出た。
(まだ怒っているのかな・・・)
僕は教室から出る途中、つい彼女のことを考えた。
テニス部の部室に入ると彼女がいた。綺麗な茶髪の髪を震わせて、いろいろな仕事をしている。そう彼女はテニス部のマネージャーだった。
「吉英くん、今日は練習後コーチが話あるって・・・」
彼女は、僕に今までと何も変わらない態度で接してきた。それが、僕にとってなんだか、いたたまれない気持ちにさせた。
「うん、わかった」
そう返事を返し、更衣室に向かった。
僕はいつも通り、練習をした。部員全員で、最初の球うちする。それから、ラリー。サーブ。今まで通りの練習だった。
傍、彼女は僕を鋭く睨みつけている。
そんな視線とは逆に隣のコートからは何やら甘い声が聞こえる。
「あの人かっこよくないですか?」
「あぁ、吉英くんのこと? 彼、かっこよくて有名だからね」
「めっちゃタイプなんですけど」
「まぁ確かにかっこいいよね。あの黒髪に長くスラットした体型、特にキリッとしたあの目」
「そう、あの目がかっこいいんですよね」
そんな話が僕の耳にまで微かだが、入ってくる。
そして見られてると思うと、テニスのフォームを綺麗にかっこよくしようと自然と気が入る。
そして外はもう暗くなり、部活が終わった。
いい汗が流れ、部活終わりの爽快感に僕は包まれていた。
そして他のメンバーが帰る中、僕はコーチ兼、部活の顧問に呼び出された。
「吉英、お前。いい動きだ。次の練習試合は期待している」
「ありがとうございます。頑張ります」
僕は、嬉しかった。僕だけが呼び出されて、褒められるなんて。
極上の優越感に浸っていた。
そして着替えて学校の校門を出る時、彼女が校門に立っていた。
僕は、また言われてしまった。
「嫌い・・・」
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