第4話 今後の方針
生存者から話を聞いた光太郎は、再び信介、眞、光成の三人を大和の会議室に集めていた。
「それでは、私が生存者から聞いたことをお話致します…」
光太郎は生存者から聞いたことを三人に話した。
この世界が自分達が暮らしていた世界とは別の世界ということ、三つの大国が睨み合っていること、生存者達は社会主義国家シュヴァルツの奴隷身分だったということを
「異界か~」
「帰れるかどうか……」
「…」
生存者から聞いた話を伝えられ、三人はそれぞれの反応を示す。
信介は両腕を組んで背もたれに持たれ、自分達が異世界に居るということに、実感が持てていなかった。眞は顎に手を当て、ブツブツと呟きながら、考え事をしていた。そして光成は、両腕を組み目を瞑って話を聞いているだけだった。
「私としてはこの無人島を要塞化させ、帰る方法が見つかるまで拠点にするのはどうでしょう?燃料補給の問題もありますし…」
「その事なんだけど…」
光太郎が自身が考えている今後の方針を三人に伝えていると、信介が待ったをかけた。
「解決方法があるのか?」
「いや、解決方法ではないけど気になることがあってな…武蔵の残りの燃料量を確認したんだが、燃料量が僅かしか減っていなかったんだ…もしかして、大和もそうでは無いのか?っと思ってな」
「何だと?」
燃料が少ししか減ってないと聞き、光太郎は思考を巡らせる。
(燃料が減っていない…そんな事がありうるのか?いや、現在の我々は異界の地に居る、何があっても不思議では無いな)
「……やってみる価値はあるな…」
少し考えた後、光太郎はとあることを試してみることにする。
「竹田海軍大将、一文字司令長官、鳴門艦長の報告が本当ならば、大和と武蔵の燃料量問題が解決するかもしれません。それを試すために、少し大和と武蔵を動かしても宜しいでしょうか?それに、ここだと大和と武蔵が、敵から発見されやすいでしょうし」
光太郎は、燃料を消費しているか調べるついでに、哨戒機で発見された入り江に大和と武蔵を避難させる許可を出すよう頼んだ。
光成と眞は互いに目線を合わせたあと、
「良かろう、許可する…」
光太郎の提案を許可した。
「ありがとうございます。それでは、現在の燃料量を測ったのち、入り江に移動させます」
「私も武蔵に戻り、指揮を執ります。では、失礼致します」
光太郎と信介は、それぞれの艦の指揮を執るため、会議室を後にした。
○
大和と武蔵は、各艦残りの燃料量を正確に調べた後、哨戒機が見つけた入り江に向け、抜錨して移動をし始める。
本来ならば、近道で行くのが正しいのだろうが、燃料量の減りを正確にするため、遠回りで大和と武蔵は入り江に向かった。
大和と武蔵が動き始めてから数十分後、二隻は入り江に入り、それぞれ錨を下ろした。
そして、残りの燃料量を正確に何度も調べ、結論を付けた。
「大和並びに武蔵の燃料は、一滴たりとも減っていませんでした」
会議室で待っていた光成と眞に、光太郎ら乗組員達から受けた結果を伝える。
「恐らく、この世界に来る際、主機が何かしらの影響を受け、燃料を使わずに動くようになったのだと思われます。現実だと有り得ませんが、ここは異界です、何が起きても不思議ではないでしょう」
補足説明を聞き、光成と眞はそれぞれこれからのことを考え始める。
その様子を見て、光太郎は口を開く。
「…意見具申。私と鳴門艦長の意見としては、燃料問題が無くなったとは言え、食料や砲弾などの問題があります。そこで前に申したように、この無人島を拠点にするのはどうでしょう?幸い、この島には様々な食材があるとのこです」
考えている光成と眞に、光太郎は信介と共に考えた今後の方針について話す。
「分かった。それで行こう…一文字司令もそれで良いな?」
「ええ。ですが、個人的にはあの海賊船が気になります。復讐としてもう一度襲ってくる可能性があるので、拠点建設と同時に要塞化しておいた方がよろしいかと」
「分かりました。本格的な拠点建設、食糧の安定供給化、無人島の要塞化、更に資源がないか探索を始めます」
眞の意見も取り入れ、光太郎は、無人島に拠点建設と要塞化などを行うこと決めた。
「そう言えば、この島はなんて言うのだ?」
ふと眞は、無人島の名前を光太郎に尋ねたが、
「それが、生存者達曰く、未発見の島だったようで…名前はないとのことでした」
光太郎は島に名前が無いことを伝えた。
「ならば、最初に島を見つけた我々が、名前を付けるとしよう。この巨大な島は…そうだな、
名前が無いということで、光成は少し考えた後、拠点を建設する巨大な島の名を、日丸島と名付けた。
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