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    はくちょうと海と僕らの夏への応援コメント

     主人公が大人になって夢がさめても、心に残り続けるファンタジーは、いいファンタジーだと思っています。今作のふたりも、前作『ひそひそばなし』のふたりも、さみしいながらも歩みを進める姿が、ジブリ映画を一本観たような美しい読後感に繋がっていきます。
     私もたまに夜が海に見えるときがあります。近くに高速道路を跨る歩道橋があるんですけど、そこから思い切りダイブしたいって。また泣きながらクレーンゲームする夜もあります。そのせいで大きなジラーチが4匹も手元にあって、「すぅ」みたいに星に帰ってもくれないので、どうしようもありません。
     そんな私にとって、この小説はやさしく手のひらを乗せてくれるものでした。なにがいいって、特にこれといって「がんばれ」と言われないのが好きです。死にたいふたりが出会い、そこに変なアヒルがいるだけで、こんなにも生きていける。生きるのに必要な理由なんて、毎朝啜るマグカップに浮かんでるようなもので。身近にある、小さなしあわせを集めていたいと、改めて感じました。
     特に私が好きなシーンは「すぅ」が、ケチャップを言えない場面です。一見わざわざ描かなくてもよさそうな部分に、素敵なものが眠っているようで、微笑ましい気持ちになりました。私も冗談で笑えることを、大切に抱えていたいです。
     最後にふたりは、毎年夏になったら空を見上げようと約束しますが、なんだか「すぅ」は忘れてパシャパシャ夜空を泳いでる気がして、楽しくなりました。いいキャラしてると思います。
     なにもうまくいかない私にも、大切なものを見失わないように、ささやいてくれる素敵な作品でした。ありがとうございました。

    作者からの返信

     秋冬さん応援コメントありがとうございます。返信が遅れてしまいすみません。
     夜が海に見えるときってありますよね。私は大学1年生の夏の終わりに、よく心の中で橋の下や道路にダイブする妄想を働かせていました。
     この小説は、実際にゲームセンターにいた大きなアヒルのぬいぐるみをモデルにしています。数千円費やしても取れなくて、この小説が完成した後に再び挑戦したところ取ることができました。現実世界の「すぅ」は今も私の家でのびのびと暮らしています。私の家が星だと勘違いしているのかもしれませんね。ケチャップの発音を間違えてしまうように。
     ケチャップを言えないシーン、私も気に入っています。あの場面は「すぅ」のいいキャラクターが出ていますよね。
     こちらこそ読んでくださりありがとうございました。大切なものを見失わずにこれからも大切にしていけたらいいですね。