第8話

連れてこられたのは浴室で、私が落とされたのは浴槽。かけられているのはお湯になる前の冷たいシャワー。



どうして?なんで?蓮くん?



見上げた先にいた無表情の蓮くんは、私の身体が濡れたのを確認すると、シャワーを私にかかる状態で壁に掛けて浴槽の中へ入ってきた。



怖い。蓮くんが怖い。

いつもの優しい蓮くんじゃない。



ガタガタと身体が震えて詰まった喉のせいでうまく声が出ない。そんな私を抱きしめた蓮くん。



「あーあ。他の奴の匂いがする」



耳元で低く呟いた。



「身体、洗わないとな?」



口元を歪めて言った蓮くんに、私はどうすることもできなかった。

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