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第10話

ピチャリ…



水音が聞こえる。



ヒンヤリとした空気の中で感じる湿った温もりはしなやかに移動していく。そして、ある場所にたどり着くと再び水音を響かせてチリッとした痛みを与えた。



「…っん」



ふと意識が覚醒する。



ゆっくりと瞼を開けていけば、暗闇の中で月の光に照らされた美しい顔がすぐ目の前にあった。



「起きたか」


「ん、愁くん…」



まだ霞む瞳を擦れば、更に鮮明になった愁くんがフッと笑っていた。



そして感じる違和感。



「きゃあ…!」


「動くな」



素肌に感じる冷気に視線を下げれば私は何も着ていなかった。いつも2人で寝ているベッドの上で、上半身裸の愁くんが私に跨っている。



「はっ、恥ずかしいよ…愁くんっ…」



愁くんとこういう事をするのは初めてではないけど、自分の意識がないうちに見られていたと思うといたたまれない。



抑えられていなかった両腕で体を隠せば愁くんが舌打ちをして、腰を撫でていた手で払われた。



「だれが隠していいなんて言ったんだ?腕はどこにやるか何度も教えたはずだ」


「ぇ、ぁ…ごめんなさい…」



冷たい目で咎めてくる愁くんの首に、教えてもらっていた通りにそっと腕をまわす。

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