第69話
カシャンッ!という音と共に、手に持っていたスプーンがテーブルへ落ちていく。
「あーう!」
「きゃ、待って、楓…」
弾かれた拍子に飛び散った離乳食を掴もうとする小さな手を慌てて止めれば、今度は私のご飯に手を伸ばそうとする。
「あっ、ダメッ…!」
生後半年の楓は好奇心が旺盛で、いろんなものに触れようとする。
「楓はまだ、離乳食は嫌なのかもね」
そんな言葉と共に楓の手からご飯を遠ざけた司くんは、テーブルの上を拭いていく。
「ありがとう、司くん…」
「全然」
フッと口角を上げて笑った司くんは、布巾と離乳食の残りをキッチンへ持って行くと、戻ってきてすぐに楓を抱き上げた。
抱っこが大好きな楓はキャッキャと楽しそうに笑う。
「俺が抱っこしてるから、雪乃さんはゆっくりご飯食べてね」
「えっ、でも司くんもまだ…」
「雪乃さんが優先だよ」
「ぁ…」
腰を折って近づいてきた唇が額に触れ、すぐに離れていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます