第65話

昂る感情を抑えてベッドの中へ入り、雪乃さんを抱き寄せた。





スースーと小さな寝息を溢すその姿に思い出すのは、初めて彼女を抱いた日。




ここまでしておいて何だけど、酒に酔った雪乃さんを抱いたことに罪悪感が無かったわけじゃない。




飲み会をひっそりと抜け出したあの日、タクシーで家へ連れ帰って暫くはキスで我慢してたんだ。




だけどキスの合間にこぼれ落ちる声とその柔らかな感触に、キスするだけから少し肌に触れるだけへと進んでいって、最終的に見た綺麗な身体に欲情した。




酒で意識の朦朧とする雪乃さんは触れるたびに小さく吐息を溢して、貫いた時…



『イヤッ、ぁ、』



痛みを感じたような声と薄らと開いた瞳に、目が覚めたのかと思った。



感触で分かった、彼女の初めての行為。

そしてその瞬間を覚えていて欲しくて顔を覗き込んだのに、もうその時には瞳が閉じていた。



まぁ、俺が覚えてるからいいけど。




「ねぇ、雪乃さん」





雪乃さんは、これだけは覚えておいて?

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