第64話

忌まわしい記憶だ。


雪乃さんが他の男と…なんて。




これから先、一生許さない。



結婚して安心できるほど雪乃さんはしっかりしてないから、俺がちゃんと見ててあげないと。








「俺たちの子供、楽しみだね…?」




ベッドに腰掛け、眠る雪乃さんの頬を撫でるだけで今すぐにでも犯したくなる。



月の光に照らされる黒髪に手を差し込んで、赤い唇に誘われるように口付けた。




「…ん、……っ…かさ…、く、」


「……は?」




互いの睫毛が重なりそうな距離、雪乃さんは無意識に俺の名前を呼んだ。



「…っとにさ、俺を狂わせる天才かよ」

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