第87話
ゆったりとしたペースのはずなのに、恥ずかしがる隙は与えてくれず、優くんが手に取っていくサンドウィッチを2人で全て食べ終えた。
「…ごちそうさまです」
咀嚼してる姿をずっと見つめられていた緊張感から解放され、お腹がいっぱいになった私は、そのまま優くんへ体を預けた。
「寝てもいいよ」
自然な流れでそうしてしまったことに、その楽しげな声で気づいて、ハッと顔を上げる。
「も、もう自分で動けるよっ…」
恥ずかしくなって、滑るようにして膝上からソファーへ移動した。それに対してクスクスと笑った優くんは、さっき持ってきたもう一つの紙袋を私の膝に置く。
「そろそろ着替えようか。綾ちゃんの服は今洗ってるから、それ着て」
「え、あ、ごめんなさいっ、ありがとう…」
「ベッドルーム使っていいよ」
「うんっ、」
少し緩んでいたバスローブを整え、大きなベッドの置いてあるその部屋へ向かった。
パタリと扉を閉めてすぐ視界に入るベッドは、先程の情事なんて無かったかのように綺麗になっていた。
でも、あれは現実に起こったことだと、お腹の奥のジクジクとした感覚が証明してる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます