第85話
私はそれからまたぐったりとしてしまい、ほんの少しだけ、数分程度眠りに落ちていた。
微睡む意識の中でインターホンが鳴り、私をソファーへ横たえた優くんが誰かと話す声が聞こえ、ハッと目が覚めた。
「買ってきたよ」
「あぁ」
「…で、いつ囲うつもり?」
「悪さしたらね。別邸準備しておいて」
「わかった」
微かに聞こえた会話。
なんの話かまったく分からないから、ボーっと天井を見つめていれば視界に現れた優くん。
笑顔で私を覗き込むと、ご飯食べよう、と手に持った袋を掲げる。食欲をそそるような香ばしい香りが漂い、急激な空腹に見舞われた。
テーブルに並べられた色とりどりのサンドウィッチは、ここら辺では有名な行列のできるパン屋さんのもの。
「こ、これっ…」
「危ないから、座って」
私が、ずっと食べたかったお店のサンドウィッチ。
再び優くんの上へ抱えられたのに、嬉しさからテーブルの方へ身を乗り出そうとして強く腰を引かれた。
「どれから食べる?」
「えっと、あの、生ハムの、」
生ハムとチーズのそれを指差せば、優くんが手に取り私の口元へ持ってくる。
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