強敵

@sho-pasta

強敵



一陣の風が吹いた。


風になびいて髪がゆれた。


ほほをつたう汗が身体の熱を冷ましていくのを感じる。


戦いは終盤に近く、あと少しで決着が決まる。


あと少しだと思い息をつく……


っ!!


一瞬でそれまでの余裕を消し飛ばすように、背筋がヒヤッとした。


しまった。


こんな相手がいるならもっと使い慣れた武器を持ってくるのだった。


まだ慣れないそれを右手に構えて前方に目をこらす。


目の前にだんだんと近づいてくる相手は、まさに歴戦の猛者の雰囲気を醸し出していた。


肌は黒く焦げ、これまでの戦いの数の多さを表しているようだった。


先手を取るべく右からまわって突きにいく。


しかし相手は軽々とよけていく。


なにも武器を持たない相手は、こちらを見下しているようだった。


今、相手が油断している隙にッ




勝利の女神はこちらに微笑んだようだった。


見事、右手のものは相手を貫いた。




…………




戦場しょくたくでは右手の武器はしを手に、強敵だいずへの勝利に笑う戦士がいた。


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