「 奴隷 」
「今回商品になるのは なななんと!! 非常に価値の高いこの日緋色の目をしたエルフの少女です!!八十金貨から落札開始!!!」
薄暗い会場に熱狂が飛び交う、九十金貨、百金貨、百十金貨と、値段がどんどん吊り上がっていく。そして、それをなぜか冷静に見ている自分がいる。
私は人間に売られる・・人間に故郷を焼かれ、両親を殺された私はこれから売られる。敵である人間に「奴隷」として・・
私はきっと死ぬまで奴隷のままになる・・この首に繋がっている鎖が私を逃がしてはくれない。この人生はもう捨てようか?いや、ダメだ。死んだら「あいつ」が来る、それだけは嫌だ。
不死身、それは誰しもが喉から手が出るほど欲しがり、どんな権力者でも手に入れられない、手に入れてはならない代物であった。しかし、この少年いや、エルフの少女は違った・・ 彼女は何百年もの間、「 」の力によって同じ世界をループしている。同じ人物に毎回ループできるならいい物の、今回も毎度と同じく違う人物にループしている。そして今回のループ先はこの奴隷として売られる寸前のエルフの少女であった。
転生先は毎回ランダムであり、ある時は男として、またある時は女として生まれ、寿命が尽きるまで生きたり、殺されてしまったり、時に貴族であったり、王族でもあった。そして今回は大森林の奥に住んでいる平凡なエルフの夫婦の家の長女として生まれた。
私は両親に愛されて生まれ、すくよかに育った。孤児に転生した時みたい飢えなかったし、帰る家もあった。食べる物も残飯から見つけなくてよかった。友達もできたし、私が生まれて五年がたったある日、弟か妹ができたと両親から報告された。
私は幸せに、そして平穏にこの暖かい家で次に転生するまでだった。でも私の小さな願望は人間達の私利私欲な欲望で壊されてしまった。
私は妹と家の外で散歩をしていたんだ。そしたら妹が森の外の景色も見たい、木ばっかりじゃ面白くない。そう言ったんだ。だから私は妹を森の外に連れて行ってしまったんだ。
里の大人には森の外に出たらいけないといわれていたのに・・
「 」からの贈り物 @neco10
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