1章6話 冒険者ギルドで登録をするぞ

✳︎完全な説明回となってしまいました。文章の配分が下手くそですね。

だんだん少なくなっていくのでご容赦ください。

少し長くなってしまったので2話に分けてありますが、本日2話とも更新します。

今後ともよろしくお願いします。


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しかしこのスキルってやつはなんなんだろう。


食事のあと、おれはベッドに横になりながら、ステータスウインドウを眺めていた。


気配感知

聴覚増強

天候予測

足裏感覚

危険感知

自動防御

猫足

遠見

縮地

方便

調理

コンディショニング

観察眼

言語


といままでピロピロ鳴りつつどんどん増えたスキルがズラッと並ぶ。これの他にも結構ある。

脈絡がなさすぎて見難いが、よくみると知らないスキルもあるな。


確認しそびれていた観察眼の他に、剣、短剣、徒手格闘、あたりの戦闘系が増えている。言語はまあいまさらだな。



ん? 沢山のスキルがならぶなか。さらに見慣れないスキルをみつけた。魅了(レア!)と書いてある。(レア!)じゃねえよ。なにこれ。


いつからでてたんだよこれ。というか、スキルは自己評価っていう仮説が早々に崩れた。おれはおれに魅了の力があるなんて思っちゃいないし、無意識に思っているとしたらそれはそれで恥ずかしい。それにしても(レア!)ってなんだ。


まあいいや。別にいままでの知識になかったことが突然できるようになるわけでもないっぽいし、いままで出会った人たちも過剰に魅了されてる感じもしない。いまんとこの感覚だと、スキルが生えたからって、それに振り回されるわけでもないし。

わからないことで得る利益が少なくなる可能性はあるが、被る不利益は少なそうだ。


しばらく考えていたが、最終的に、この世界を楽しむしかない、と諦めた。


とくに義務もないし、現代日本、1回目の転生と、せっかく築いた生活が突然何もかも無くなって一からやり直しになるのも2回目だ。


前2つの世界にももう一度会ってみたい友人などはいるのだが、あいつらにもう一度会える日は来るのだろうか。とすこししんみりもしてしまったが、大人になると友人とだっていつも会えるわけじゃなくなるし、環境も変わるし、それによって人も変わる悲しみもいくつか経験してるしな。


まあ文句を言っても戻れるわけじゃないっぽいし、今日を生きるしかない。

それにまあ考えようによっては、わからないことがわかるようになってくるというのは楽しみの一つだ。今すぐに全部わかる必要などなにもないからな。

世の中には当たり前に理不尽さや、わからない事がある、という事を受け入れられるのはおっさんの経験値だ。



慣れてるとは言え、やっぱり少し疲れたのかもしれない。そんなことも思ってしまった。

明日は、冒険者ギルドってのに行ってみるか。切り替えて楽しんでいこう。






ギルドの場所はステラさんに聞いていたので、迷う事なくこれた。

まだ暗いうちから、受付の人がいるらしい。

交代はするんだろうが大変だな。

何時くらいからいるんだろう?


おっと。流石に2回目ともなると、もう随分と異世界慣れしてきたが、時間と度量衡はつい現世の単位で換算してしまう。この世界、精密な時計などないので時間は概ね大雑把だし、距離や広さの単位は進数が独特だったりしてわかりにくい。感覚で丸覚えしてしまえばそれが一番早いのだろうけど、慣れるまでは一番親しんだ単位が思い浮かぶのは仕方ない。


と、いうことでこれから出て来る度量衡は現地の言葉が上手い事翻訳されてる結果だと思ってくれ、いいね?(誰に?)


朝一番でギルドに行き受付をすませる。


前の世界でも冒険者てのはいたが、まあ傭兵くずれや、盗賊くずれの山師みたいな連中が揶揄されて呼ばれてる名前だったからな。そんでそれを自虐的な名乗りとして使う連中も多かった。極々まれにそれを逆に誇りとして、自分たちであえて名乗って、真っ当に生きてる気持ちの良い連中もいたが。

また会いたいもんだ。この世界にもああいう連中はいるかな?



早くにきたのは、色々説明してもらうのに、ヒマなほうが聞きやすいと思ったのと、人数の多い時に目立つ事はしたくなかったからだ。と思ったのだが、既に数人の男たちが掲示板の前にあつまっていた。後から聞いたら掲示依頼は基本的に早いもの勝ちなので、少しでも割りの良い仕事が欲しいやつらは朝一番でくるようだ。



受付にいき、登録をすませる。受付というのは美人と相場が決まっているが、それは冒険者ギルドでも同じようだ。綺麗なだけではなくとんでもなく仕事できるオーラが出ている。


受付周りには人がいなかったので、これ幸いと色々と説明してもらう。


あんまりこんな事を聞く人間はいないのか、受付の人は変な顔をしていたが、それでも丁寧に説明してくれた。

それによると、こちらの世界でも冒険者てのは然程身分の高い職業ではないようだ。

いいとこ、無職よりマシな何でも屋。か、ロクデナシの宝探し屋みたいな認識。


それでもこの世界にはダンジョンがあり、そこには魔物と呼ばれる、動物より強力で攻撃的な怪物がいて、それが有用な素材になるという事で、それらを狩り、社会に還元する冒険者たちは、それなりに社会的に有用な存在として認識されているそうだ。


ギルドというのも、最初は与太者や山師の集まる酒場で本人同士で情報交換されている程度だったが、顔が広くて面倒見のいい酒場の親父が素材の卸や依頼人の仲立ちなどをしている間にだんだんと組織化され、専門の斡旋所みたいになり、自然発生的にできた各国のそれらを国境を跨ぐ冒険者たちがつなぎ、連結を持つ組織になったそうだ。


連結を持つといっても、転送や通信の謎技術は、まあ魔術的に無くはないようではあるのだが、かなりの経験者でも実際に見た事のあるものは少ない。というレベルらしく、この世界では、とにかく情報の伝播のスピードが遅い。


なので俗にギルドと呼ばれてはいるが、密な連絡も秘密の伝承も共通のマニュアルも特になく、各地各地でゆるく情報交換しながら運営自体は独立してる組織らしい。


一応、この街はそこそこ規模が大きく登録というものが必要だが、田舎の小さいとこなんかだと必要なかったり、もっと厳格なところだと試験があったりして登録自体もなかなかできなかったりするらしい。


ここ、ラーダンの厳しさはその中間くらい。登録はするが試験などはない。


身元確認なども一応はあるようだが、危険を承知で野山や遺跡に入り込んで糊口をしのごうなどという連中が、脛に傷持つ身だったりワケアリだったりするのが多いのはどこの世界も同じようで、そもそも冒険者になろうなんてヤツは、元々身元のしっかりしたものなどあまりいないので、あまり厳しくはないらしい。身元引き受けの保障をするとステラさんに書いてもらった書状をだしたら一発で通った。


本人は古着を着た装備もなにもない裸足のおっさんだがいいのかね? 隣国といえど騎士さまの保障だからかな。


と思ったが、冒険者志願者には、まさに食い詰めてやってきたみたいな人が結構いる。というのが大きな理由のようだ。


そういう人達は、身元がはっきりしていないばかりか、当然というか、特殊な技能もなく文字も読書きできないことが多い。つまり放っておいたら夜盗や追い剥ぎなどになるしかない。


ということで治安の保全という意味でも、定番の薬草採取や商品配送といった依頼が必要なのだそう。

薬草採取なんかはともかく、商品配送なんか、倫理観終わってるやつだと普通にガメたりしそうで不安にもなるけど。

とはいえ、もちろん最低限の人間性はみるが、あまり厳しくしすぎるとそういった社会福祉の側面が機能しなくなってしまうのだ。


そういう意味もあって、冒険者ギルドの依頼には、工房や建築現場の後片づけやゴミ処理など、それって冒険? みたいのも結構あるようだ。このあたりの依頼はFランクと言われていて、基本的に誰でも受注できるし、Fランクの依頼だけはギルドの方で営業をかけたりして、絶えないように常設の依頼となっているそう。




うまいことできているもんだ。





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