#32 カタストロフィ
冬羽「ラジオ『é4clatのStargazing』をお聴きの皆さん、こんばんは。é4clatの
玲「
日向「
冬羽「先日、公式から発表されました通り、é4clatの
この件に関しまして、夏樹より手紙を預かっていますので、代読させていただきます。
『ラジオをお聴きの皆様、こんばんは。天倉夏樹です。この度は私の件で、お騒がせしてしまい申し訳ございません。
私のSNSで発信させていただいた通り、経緯と致しましては、夢を叶える為に自らの意思で卒業を決めました。
しかしながら、一部の方から疑問の声が上がっていることも確認しております。
この件に関して、幾つか誤解がありまして、私から説明すべきだと思い、声優事務所ダイヤモンドダスト様にファンの皆様に直接お話する機会をいただけないか交渉いたしました。
ですが、やはりそれは難しいという判断となりました為、こうやって手紙での説明になりますこと、何卒ご容赦ください。
まず、卒業配信をとらなかったことに関しましてですが、こちらは──』」
(中略)
冬羽「『──改めまして、約1年半もの間、応援してくださりありがとうございました』
ということで、夏樹からの手紙を代読させていただきました。
ここからは、私達からé4clatの今後についてお話させていただきます。
まず、é4clatとしてのユニット活動に関しまして。こちらは無期限の活動休止となります。
続いて、天倉夏樹と宮秋玲によるユニット『Soare(ソアレ)』は解散。春風日向と私、霜月冬羽によるユニット『アオハル倶楽部』は今年いっぱい活動を休止させていただきます。
以上の決定に伴い、現在放送しておりますラジオ『é4clatのStargazing』は、来週で最終回となります。
それでは続きまして、個人活動に関しまして、1人ずつお話させていただきたいと思います。
では、私から。まずは夏樹の件について、急な発表で驚かさせてしまったこと、悲しませてしまったこと、本人に代わって謝らせてください。申し訳ございません。
夏樹のことは公式の発表よりも前に聞いていましたが、彼が去ってしまった今も寂しいです。そして本来ならば、サブリーダーとして夏樹が辞めることを止めるべきだったんじゃないかとか、もっと相談に乗れば良かったとか後悔は沢山あって。結局、私は彼の決意を無駄にしたくなくて、最終的には笑顔で送り出すことしか出来せんでした。
ですから、夏樹の卒業について不快に思っている人がいるとするなら、どうか彼では無く、私を責めてください。今はサブリーダーとして、責任を負わせてください。
次に霜月冬羽の今後の活動については、未定です。今言えることは、暫くはいただいているお仕事以外の配信活動はお休みをいただこうと思っています。
続いては玲。お願いします」
玲「あぁ。冬羽も言っていた通り、まずは夏樹の卒業に関して、不快な思いをさせてしまったこと。そして、4人でのé4clatを応援してもらっていた人にも同様に謝らせて欲しい。
申し訳ございませんでした。
振り返れば、俺は、もう夏樹とは約10年近くの付き合いになる。だからこそ、夏樹から辞める話とその理由について聞いた時は驚いたが、同時にアイツらしいとも思っていた。
だが、それ以上に俺にとって、é4clatという存在はデカくなってた。この日を迎えるまで、夏樹とは初めてまともに喧嘩して、大いにぶつかった。で、そこでも伝えきれなかった想いは全部、先日のライブに込めたつもりだ。
ということで、俺の話はここまでということにさせてもらう。
次に、宮秋玲の今後についても話させてもらう。今月をもって、一切の配信活動を休止し、暫く新たな活動に向けて充電期間とする予定だ。また、これは以前からプロデューサーやメンバーと話していたことであり、夏樹の卒業は想定外で、あくまで実際に実行するきっかけになっただけだ。詳しくは次回の個人配信で、話そうと思う。
それじゃ、最後は日向」
日向「うん。まずは夏樹くんについて。2人も言っていたけど、改めて。皆んなを悲しませてしまって、本当にごめんなさい。
今日ラジオで夏樹くんについて、お話することが決まってから、どんなことを話そうかなって、ずっと考えてたけど……僕も皆んなと同じ気持ちです。悲しくて、寂しくて、悔しいです。
でも、僕たちは前に夏樹くんが言っていた通り、前に進んでいかなくちゃいけない。今は、そう思うことしか、僕には出来ません。
本当は、今まで通り配信を続けた方がいい。ダンスも配信も声優のお仕事も全部頑張って、夏樹くんが辞めることを辞めて帰ってきたくなっちゃうくらい凄い人になればいいって、今までの僕なら、特に夏樹くんは言っていたと思います。けど、無理です。そんなの。
だって、だって……」
こうして、日向の啜り泣く声と共に溢れ出したメンバーからの夏樹への想いはCMを跨ぎ、番組枠の30分全てを使い切っても、誰1人として止めることも怒ることもしなかった。
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