幼馴染が異世界でスパダリだった件、スーパーダーリンガチャでSSR確定!だが、しかし現実世界ではコモン以下でぴえ~んえんえん

天野川リリコス

第1話 上原愛耳(うえはら もる)の指輪


私は上原愛耳(うえはら もる)17歳、今日もお姉ちゃんの恋愛話を聞き、心の中でため息をついた。


「ねえ、愛耳(もる)も早く、私みたいにいい彼氏見つけなよ!」


お姉ちゃんが自慢げに笑う。お姉ちゃんの彼氏は高身長でハンサム、しかもスポーツ万能、優しくてお金持ち。実は私の初恋の相手だけど、今日はまた二人でラブラブデートらしい。


「ふん、全然羨ましくないから!」


私は泣きそうになりながら反論したが、心の中では羨ましさでいっぱいだった。、お姉ちゃんの彼氏は私のスーパーダーリンになるはずだったのに!


半年前、友達にロマンスの予感を告げられた。


「愛耳(もる)ちゃん、亜義斗(あぎと)さんがあなたのこと気になってるみたいよ…たしか初恋の人とかいってたよね、、わたし彼の幼馴染なんだよね、愛耳(もる)ちゃんかわいいこでフリーだよってプッシュしておいたよ。」


えっ、マジか?もつべき友!愛のキューピットだな!たしかに、最近、彼とよく目があう気がする。たしかに初恋だけど、ぶっちゃけ人気高すぎで無理っておもってあきらめてたのに。ドキドキ…! こんな気持ちになるなんて、どうしよう。


豪田 亜義斗(ごうだ あぎと)年齢は18歳完璧主義のハンサムさん高身長、スポーツ万能、お金持ちと絵に描いたようなスーパーダーリンが手紙と花束を持って、私のそばにきて、わたしの目を見つめていた。ラブレター? 告白とか、もしかしてしてくれるの?はじめての告白が初恋の人からされたら、、やばい。。うれしいかも。。そんな期待で胸が高鳴る。


しかし、その時、幼馴染の二兎(にと)が現れて、バナナの皮を踏んでコケて、頭を打った。


「おい!二兎(にと)!何コケてんだよ!よいしょ…」って、助けたのがまずかったのか。亜義斗さんは少し暗い顔をして、手紙と花束を引っ込めて走り去ってしまった。私の心は一瞬にして沈んだ。


「ちょっまって。。」


亜義斗さんには、私と二兎が仲良しの恋人のように見えたんだろうか。後日、落ち込んでいた亜義斗さんに、ニートのお姉ちゃんがたまたま話しかけてきた。「私、暇だから付き合ってあげるよ」って慰めたら、告白されたというのだ。私とお姉ちゃんは瓜二つだし、料理も歌も家事も、私の方が上手なのに…。私の方がスーパーダーリンを幸せにできたはずなのに…。悔しい!


でも、ニートでいつもつまらなそうにしていたお姉ちゃんが、今は幸せそうにキラキラ輝いているから、まぁいいか…。クソクソ!


「今日はどこにデート行くの?」


「高級ホテルで2万円のランチよ」


「わ~、いいな!私も行ってみたい!」


「まさか…」と言いながら、姉ちゃんは私が買ったブランド服を着て出かけていった。


「ちょっ!まって!!あっ!時間が。。」


私は、バタバタ用意をして二兎(にと)と約束していた焼肉屋へ向かった。特にカルビが人気の店らしい。いつもは家でカップラーメンか納豆ごはんなのに、わたしにしてみれば高級レストランでのデートみたいなものだって、気合いれておしゃれな服を用意したのに。。クソクソ!


「はぁはぁ、、待った?」


「30分も待ったぞ。てか、その服ダサいな」


今日のために買った服、お姉ちゃんが着ていっちゃったからね、しかも洗濯物が乾いてなくて、お姉ちゃんのニート服しかなかった。。つらい。


「てか、おまえもおなじニート服じゃん!ダサいよ!」


「まあ今日は煙がもうもうと上がる焼肉屋だからな、その服で正解だ。楽しもうぜ!」


ほっ、気合を入れてブランド服を着る必要はなかったか。てか、先に言えよ!


彼の名前は小雪 二兎(しょうせつ にと)、私の腐れ縁の幼馴染だ。趣味は変な小説を書くこと、昔は「すげぇ小説家になって幸せにしてやる」なんて言ってくれた、かわいいやつだったんだけどね。

現実は厳しい。いつのまにかだらしない、いわゆるダメ男になっちゃった。


私が掃除してやらないと部屋は汚れてるし、耳掃除もしてやらないときったないし、毎年、誕生日プレゼントとかバレンタインのチョコをあげても返してくれないし。はぁ…なんでこんなのしか私の周りにはいないのかしら、お姉ちゃんが羨ましいよ…。


「タン塩、カルビ、トロトロホルモンください!」


店員が銀色の皿に乗った肉をドカッと置いた。七輪の上に肉を並べて、じゅーっと焼ける音が心地いい。

よし、上手に焼けました!いただきまーす!すっと、わたしの焼いた肉に二兎(にと)の魔の箸が。。


「うめぇ~♡ 愛耳(もる)の焼いた肉、超うめぇ!お前、いい嫁さんになるぜ!」


このやろう!私が焼いた肉を食うんじゃないよ!しかもサンチュ使いすぎ!二兎(にと)の焼いた肉は、、ああ、焦げてる…「まぁ、焦げた肉でも美味しいからいっか」しょんぼり。。

食欲旺盛すぎでしょ、ガツガツと肉を食べ続ける。私の分、残しておいてよ!


「きょっ!今日こそ割り勘だからね」


「あ、そうだ…俺、今日は金ないんだった」


いや、いつもだろ。。は頭を掻きながら申し訳なさそうに言った。このダメ男にいくら貢いだかわからない。


「しょうがないわね、、今日奢ってあげるけど、


「働いたら負けだろ。。いつかみてろよ、オレは小説家になる」


そう言って10年、私は知っている。コイツの小説がクソつまらないことを。内心、少しイライラが湧き上がる。「本当に私って男運ないな…」私はそう思いながら会計を済ませた。


会計後、店のガチャコーナーに変なガチャが目に入った。『スーパーダーリン☆ガチャ』?何これ…怪しいけど、面白そうだからやってみた。500円は高いけど、ガコン…カプセルが出てきた!しかも、SSRって書いてある!虹色カプセルだ!「開けてみよう!」…うーん!硬くて開かない。


「二兎(にと)!これ、当たったの開けるの手伝って!」


「ったく、だりぃな…そんな金あるなら俺に奢ってくれよ」


「いや、あんたにお金は貸してるんだからね!」


「すいません、手伝います…」


二兎(にと)が手伝ってくれたけど、彼の手が私の手を覆うようにして…近い!彼氏でもないくせに!

せーの!くっ…これが男の子の力か…。でも、こんな奴にキュンとしないでよ、キュンのムダ遣いが女を不幸にする!コイツはダメ男だ!「ああ!」と叫びながら、


カプセルが開いた――


パカン♡


目覚めると、二人はふるびた学園にいた。

私はセーラー服に重い銃器(機関銃ってやつかな?)を装備している。


ちょちょっと、起きて!どこなのここ!

ゆさゆさと、学ラン姿の二兎(にと)の体を揺らすがまったく起きない。

起きてよぉ!


「ん~、あと五分…」


あ、、生きてる、、すこしホッとする、、頼りないやつだけど。一人よりはマシだ。。

二兎はむくりと起きると、ぼーっとしながら、空をみて指をさした。


「あ~、異世界だなこりゃ、あのクソみたいな雲みてみろよ。」


「これオレが『ヨムカク』って、Web小説サイトで初めて学園ループ物を書いたオレが考えた最強ガバガバ設定の小説世界」


は?たしかに、クソみたいな雲だけど、言ってることが全然わからないのですが?私は混乱した。こいつ小説の書きすぎで、ついにおかしくなったかな?早く奢ったお金返してほしくなってきた。


「あっちだ、『あんぜん第一団』がある。ついてこい」


ちょっと、、いつもは私の後ろをやる気なさそうにダラダラついてきて、おんぶとかいいだすのに、、今日は歩くのが早いし、堂々と自信ありげに歩いている。

わたしは、待ってよって言って、腕をくんだ。こいつヒョロガリだったのに、こんなたくましい腕だったっけ?あ~引っ張ってもらえて超楽ちん。


「着いたぞ」


古びた部室の看板には「あんぜん第一団」と書いてある。普通生徒会とかクラブじゃないの?誤字?これは本当に二兎が書いた小説の世界の可能性がでてきたな、よーく周りを見てみると、世界観がなんというかガバガバ…?よくこんなんで小説家になるなんて、笑っちゃう。


「おーい、団長!宇宙人の登録、2人ペアで頼むわ。」


カウンターの奥から、かわいいカチューシャした子が出てきた。あれ、私に似てるじゃん。こういう子が趣味なの? センスはいいけど、なんかキモい。まさか、私のことを好いてるの? 残念ながら、私は安い女じゃないからね!


そのとき、団長が笑顔で二兎に馴れ馴れしくボディタッチしているのを見た、ひどいガバガバな設定だな、、仲良くない女の人がそんなに簡単にボディするわけないでしょ。。イライラ、、「さわるなよ!」と少し嫉妬心が湧いてきた。でも、私は冷静を装った。


「ペアで登録ですね。それでは、愛の誓いの言葉をお願いします。」


あんぜん第一団長がにこやかに言う。


「はぁ~!?あんた、どんな世界観で小説書いてるのよ!」


私は驚きながら二兎に怒鳴る。


「ああ、でもここで宇宙人登録を済ませないと、団長とペアで学園生活を楽しむ話になるんだ、」


「そんなの許すわけ無いでしょ!はぁ…もう、しょうがないか」


ため息をつくが、宇宙人登録の誓いの言葉に目を落として驚いた。


「げっ、これって結婚式の誓いの言葉と同じじゃん…」


誓いの内容には、「お互いを守り、愛を誓う」という文言がしっかりと書かれていた。


「なんでこんな罰ゲームみたいなことしなきゃいけないのよ!しかも、二兎と愛の誓いを交わすなんて…!」


「現実世界に戻りたくないのか?」


「くっ!恥ずかしさでいっぱいだ。」無理やり声を振り絞り、「…誓います」と小さな声で言った。二兎も、特に気にせず「誓います」と返答したが、その瞬間、心が少しだけドキッとした。


「これから指輪の交換を行います!」


その言葉に、どこからたくさんの学生たちが集まり始める。彼らの視線が私たちに集中し、緊張感が高まる。私の心臓はドキドキと大きな音を立てていた。


「二兎よ、愛耳に指輪を渡してください!」


二兎は、自信満々に『忘れな草が彫刻された指輪』を取り出し、私の左手の薬指にはめる。その瞬間、周囲から拍手が起こり、私はますます恥ずかしくなる。


「やった!結婚式みたいだな!」と誰かが叫ぶと、周りは大盛り上がり。


「それでは、誓いのキッスを…」


ゲロゲロ!恥ずかしすぎる!顔を伏せたまま、早くこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。でもまぁ、小さいころはよくやってたし、いいか…。


「二兎!ちゃんと目をつぶって!恥ずかしいでしょ!」私が叫ぶと、周りの学生たちが期待に満ちた視線を向けている。


「別に、昔はよくチュッチュしてたじゃねぇか…何をいまさら。」二兎は余裕の表情で言う。


「くっ!もう大人でしょ!もう少し雰囲気だしなさいよ!」とツッコミを入れながら、気持ちを切り替えようとする。


そして、ドキドキしながらも、私たちは近づいて…ちゅ。。♡


その瞬間、何が起きたのか、ふと気がつくと、私たちは元の焼肉屋に戻っていた。まるで夢のようだ。周囲は、さっきまでの学校の青春の香りから一転、焼肉の匂いが漂っている。

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