第27話 急な方向転換、その判断は正しかったのか?
「今までのあらすじ」
ここは地球の日本。2024年。川原知人(かずひと)は、40代の大学教授で哲学の研究をしている。川原の中の人は、鈴木愛衣(あい)という名前の大学生で、科学技術が発達した別の宇宙の惑星に住んでいた。愛衣の心は、地球の川原知人という名前の胎児の中に送りこまれ、今は川原知人として生活している。愛衣は昔の記憶は覚えていなくて、最初から川原として生まれたと思っている。
これは川原が高校の時の話である
「第27話」急な方向転換、その判断は本当に正しかったのか?」
文系、理系どちらを選択するべきなだろうか。決めるのは、非常に難しい。そもそも、この高校1年生の1月に決めるのに無理がある気がする。日本では文系、理系ときっちり分けて、大学入試をするけど、海外ではそんな事はないらしい。海外だと、入学した後に文系、理系の変更も比較的、楽にできるっぽいし、そっちのシステムの方が良かったなと思う。
大学ごとに試験の問題が違うのも勉強がしにくいと思う。全部、どこの大学を受験するのも共通のテストの方が良い。問題もできるだけ簡単にしてほしいなと私は思うのだった。
海外だと高校の成績と、センター試験(今だと共通テスト)みたいなテスト等の点数で合否が決まるらしい。私は本番に弱いタイプなので、高校の成績とかいれてくれた方が、合格しやすそうだなと思った。
「知人(かずひと)は、文系、理系どっちにするか決めたの?」親友の田中がきいてきた。
「今後の人生に大きくかかわる大事な選択だから慎重にちゃんと考えようと思っている」私は言った。
「そうだな。ちゃんと考えないといけないね。そう言えば、南川(みなみかわ)さんは文系に行くらしいよ」田中は言った。
「えっ・・・・」私は突然、南川さんの話が出てきてびっくりした。
南川さんというのは私が入学式の時に声をかけようとしてうまく言葉が出てこなくてしゃべれなかった女の子だ。私はその後、高校1年生の1月になるまで、ほとんどしゃべった事はないのだが、だんだん月日が経つごとに気になりはじめ、好きになってきていたのだった。
親友の田中にも、私ははっきり南川さんの事が好きだとは言ってないのだけど、田中には、好きな事がばれているっぽかった。
「俺は、理系に行くよ。宇宙に興味があるし、宇宙船とかの勉強もしたいな考えている」田中は言った。
「そうだよね。健一(けんいち)は、宇宙船とかの設計したりする人に向いていると思うよ」私は素直に言った。健一というのは田中の下の名前である。
「知人(かずひと)も自分の好きな方に行けば良いと思うよ。哲学が好きだから文系に行くのも良いし、プラネタリウムとかで星を観測するのが好きなら理系に進むのも良いと思う」田中は親身になってアドバイスしてくれた。
「そうだね。哲学の本なら大学で習わなくても趣味で読めるし、大学では理系で機械の勉強とかしたいと思っている」私は田中に、はっきり言ったのだった。
しかし、ここはから予想もしていなかった事が私に起こったのだった。
放課後、南川さんが私の方に歩いてきて、急に私に話しかけてきたのだ。
「あの・・・。川原君、勉強で分からない事があるんだけど、今、時間良いかな?」私は急に好きな南川さんが話かけてきて動転した。
「え・・・・。」川原は少し大きな声で叫んでしまい、後ろにひっくり返りそうになった。大きな声をあげてしまい、周りのクラスの人に注目されてしまったような気になり、かなり恥ずかしくなった。その時、田中の方を見ると、にやにや笑っていた。
「大丈夫?」南川さんは少し心配そうな顔をして、こちらの顔をのぞきこんできた。「だ、・・・大丈夫だよ。急に話しかけてきたから、少しびっくりしただけだよ」私はなるべく平静(へいせい)を装(よそお)って言った。
「そうだよね。ごめんね。」南川さんは本当に申し訳なさそうに謝ってきた。
私が南川さんの事が好きなの本人にもろばれじゃないかと思った。別にばれても良いけど恥ずかし過ぎる。
「それで、分からない事って何なの?」私はようやく少し落ち着きをとりもどしきいた。
「そうだった。それはね・・・」南川さんは勉強で分からない事を私にきいてきた。私は幸いにも南川さんが分からない所について詳しく知っていて、うまく答える事ができたのだった。
南川さんは分からない事をきいた後、「ありがとう」と言って、家に帰っていった。私はその場でしばらく考えていた。もしかして、私の事、南川さんが好きなのかもしれない。好きでないにしても、嫌いではなさそうだ。普通より好きな相手じゃないとわざわざ他の人もいるのに、異性の自分に勉強の質問をしてこないのではないか、そう考えたのだった。
次の日、私は文系、理系の最終決定をするために出すプリントを担任に提出した。
そこには、南川さんと同じ「文系」にしたのだった。
その決定を見た親友の田中は、「別に良いけど、話が違う」と言ったのだった。
(続く)
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