今後の方針

 佐助からの電話にて・・・確かに六角義賢は奮戦していたように見えるらしい。どんな戦いをしたかは分からないけど右手の指が3本飛んでいるみたいだが、やはり逃がしてしまった事が申し訳ないみたいで切腹させてくれと言っているらしい。


 『暁様?どうしましょう?我がここで見届けて首級だけ大殿にお持ちしましょうか?』


 「切腹なんかさせなくていいから!一応、六角さんは俺の配下に入るって事になってるんだから完全回復スプレーで指も生やしてあげて!」


 『え!?もったいない!こんな者のためにーー』


 「つべこべ言うな!」


 『はい。はい。分かりましたよ』


 佐助と電話を切った数分後に信長さん小姓の人から城に入るように言われる。


 「じゃあ小雪?俺は城に入るから望月さんとかに飯振舞ってあげて!」


 「畏まりました」


 宇佐山城の3階、天守ではないけど1番上階の一際大きい部屋に呼ばれた。


 「大橋!見てみろ」


 信長さんに言われたのは比叡山の火事だ。


 「この件にてはっきり畿内は敵、味方と別れるであろう。後悔はせん。六角はどうした?突破されたのであろう?」


 「織田様のお考え通り突破されました。佐助達を援軍に走らせ、六角からは切腹をと言われましたがさせていません」


 「ほう?理由は?」


 「かつて六角とは楽市楽座の基礎を近江で行いそれを織田様が昇華させ岐阜、尾張は潤っております。そして昔とは言え、六角は足利幕府内では近江守護。その家を織田様の支配内に置くというのはかなり大きい事かと」


 「100点だ。して、次の一手は何をすると思うか?」


 「覚恕さんを使い帝に謁見。後に今回の騒動の咎は浅井、朝倉にと。そして、帝から浅井、朝倉討伐の勅命を引き出すと思います」


 「チッ。つまらん!驚かせてやろうと思ったが何もかもその通りじゃ。だが本願寺の事が抜けてある。本願寺はさすがに潰せぬ。だが・・・やりようによっては縮小させる事ができる」


 信長さんが言った事は比叡山延暦寺ですらあれだけの銭、金を貯め込んでいたわけだ。


 別に緊急時に必要な分なら何も思わないが明らかに雑賀衆や野伏などを雇えるくらいな銭を隠しているわけだしそこを叩くと。織田家主導の立ち入り検査的な事をすると。


 そもそも身寄りのない者や借金の型に嵌りどうしようもない者、食うに困った者、身体が不自由な者など様々な人の拠り所が宗教だ。しかもその人数は国が出来上がる程多いときている。


 ではそのような集団をどう解散させるか。信長さんは徹底的な合理主義。使える物、使える者は何でも誰でも使う人だ。


 「かなり良い考えだと思います。それで本願寺の方はーー」


 「うむ。以前、大橋が言っておった賦役を行う。これで朝倉を討伐できれば畿内は織田の物。そうなれば敵はおらん。ワシに相応しい城が必要と思わぬか?」


 安土城か!?このくらいに建て始めるのだな。その仕事に宗徒の動ける人を使うわけか。


 「確かに岐阜城は織田様には小さいように思います」


 「ふん!であろう?実はもう建てる場所は考えておるのだ。これは後々にお前にも教える。それで賦役の事をもう一度聞かせろ」


 「簡単に言えば織田家が主導の公共事業みたいなものですよ。雑仕事から何から何まで本来ならば給料や食事すら出ない仕事を賦役と言いますが織田家はこれに銭を出し飯を出し他と違う賦役にしましょう」


 「それはいいとしてだが動けない者はどうする?」


 「動けない者でも手が動かせるならできる事はあります。本格的な老人の人達はさすがに無理ですが手拭い作り、衣服作り、織田家が経営する商いの店主などやり方は色々ありますよ」


 「うむ。それに本願寺の宗徒共を使うと言うのか?」


 「端的に言えばそうです。まずは少数の人間を織田が受け入れ仕事を斡旋します。そして銭を渡しまた違う人を受け入れします。それを続けて行っていけば、織田は働ける場所がある。飯が食える。と噂が広がり人が集まり、その人達を岐阜や尾張の住民とすれば税も上がり国力が上がる寸法です」


 「回りくどいやり方じゃが本願寺も食い扶持を減らす良い機会じゃ!とばかりに喜ぶであろう。坊主共は織田は働けぬ者を引き取る大馬鹿じゃとな」


 「そこが大事なのです。気取られず徐々に宗教から切り離し、従来のように気に食わない事があれば寺が挙兵とか起こそうと思っても人が居ないという風にすればいいのです。そしてそのような事をすれば帝にはどのように思われますか?」


 「弱者を救う織田という事か?」


 「その通りです。帝からも時代の覇者として認められるでしょう。足利はどう思いますか?将軍は面白くないでしょうね。多分本願寺とよからぬ事をするかもしれませんが好都合。そうなれば・・・平和を潰す足利幕府は不要と帝に思わせて、本気で潰して名実共に織田の天下になります」

 

 「チッ。貴様はワシより先を考えておる。気に食わん!だがそれでこそ大橋である!これからも頼むぞ!それで・・・捕まえた者は処刑にするがお前がするか?」


 「ご冗談を。織田様にはお任せ致します。いや・・・念には念を。あの慈海って人の傷を治しましょう。帝は比叡山を神聖視している事でしょう。現実を見てもらいましょう」


 「ふん。貴様も中々悪い顔しておる。良きに計らえ!皆が戻れば覚恕殿を連れて京に向かう。貴様も着いて来い!」


 「分かりました」


 こうして当面の目標というか方針が決まった。気付けばガッツリ信長さんに協力しているな。ただ俺が歴史に介入してもある程度同じように事象が進むのだな。


 ならやはり本能寺も起こるのか?そもそも本当に明智が犯人なのだろうか。今の明智は俺には当たりが強いけど信長さんには心底服従してるように思うけど・・・。


 それから小雪の所に戻り信長さんと話した事を言った。


 「では本格的に内政に介入するのですね!?暁様がゲームでもやっていた事をするのですね!?」


 「いやそんなに喜ぶ事か!?」


 「そりゃそうですよ!ゲームでは税収が上がる度に喜んでいたではないですか!!私もより一層励みますね!」


 なんかやたら小雪の張り切り具合が凄いけどなんだろう?


 「まあとにかく先に京に行く事になるから小雪も一緒に行くぞ!?二条何某も多分居ると思うし好きな人ではないけど挨拶くらいしようか」


 「そうですね。嫌いな人でも権力者とコネがあるのは大切ですよ!セバスチャン程ではありませんが、色々なデザインの服も作りたいですし、おしゃれな女性が増えればいいですね!」


 この発言で分かった。ゲームでは見た事ない小雪の考えだが普通の人間の現代の女の子のような感じに思っているのかな?まあ頑張って発展させようか!

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