徐々に変わってく俺の意識
それから館に戻り小雪と作戦会議をする。
「小雪?迫撃砲だけどM2迫撃砲6門で足りるよな?弾は30発もありゃ大丈夫だと思うけど?」
「それだけあれば大丈夫でしょう。砲口装填式なため教えていませんが黒夜叉隊ならばやってくれるでしょう」
「了解。スモークグレネードとデジタルスコープを人数分お願いね」
「はい!後、本日も2人相手でよろしいですか?」
いやいや勘弁してくれ!性欲はそれなりにあるがあんなゲッソリは勘弁だ!
「今日は普通に寝させてほしいかも・・・」
「分かりました。では、さきにも伝えておきます」
なんとか、回避したぞ。オレは普通がいいんだ!
「セバスチャン?明日みんなの初陣だからカツカレーでも作ってくれないか?それを多目的ルームにお願いできる?」
「あらぁ?さっそくの初陣ね?わかったわよ!武運を祈ってるわよぉ?多分すぐに終わるだろうと思うけど」
「多分な。じゃあお願いね」
オレは多目的ルームにみんなを呼ぶ。
「望月さんみんな集まりましたか?」
「はっ。集合致しました」
「みなさん!短期間でよく訓練しました!みなさんの真価が問われる時が来ました!明日の夜、長比城及び苅安尾城を俺達が攻める事になりました」
「この人数で城攻めでしょうか!?」
さすがの望月も少人数でビビっているな?そりゃ通常ならビビるだろうが・・・。
「信雅?暁様はこの人数でとおっしゃっている!この装備と我らだ。敵が可哀想だとは思わないか?だが、暁様が安全を重ねた作戦だ!文句を言うな!我らの武勇を示せる時ぞ!」
うん。血気盛んなだけね?この人数で多いとか頭沸いてるんじゃね!?俺も少しこえーよ!!
「黒川きゅん?織田軍では初陣だから出過ぎちゃダメよぉ?」
「だ、大丈夫でござる・・・・」
「まあ、続けますね。関ヶ原までは東海道で向かいます。装甲車を使いたいけど目立つしさすがに全員は乗れないから・・・いや来る時乗って来てたよな?」
「暁様!それだけはご勘弁を!装甲車は素晴らしいがさすがに戦前に疲れるのは・・・」
「クスッ。暁様?伊吹山からは徒歩で上がりましょう。それまでは疾風やコナユキに乗り他は徒歩です」
「おい?それは可哀想じゃないか?俺達だけーー」
「いいえ。皆の者!城攻めだが気負う事ない!恐らく四半刻もかからないと思う!行軍訓練も兼ねて皆は徒歩で向かう!」
「ははは!それが本来の戦でごさいますれば。何も問題ありませぬ」
「さすが黒川きゅんよく言ったわ!その気概に応えて今日は特別メニュー、その名もカツカレーよ?」
なんか納得したみたいだし普通に進軍するか。
「このメニューはカツカレー。見た目はアレだけど味は美味しいよ!食べてください!カツカレーに・・・明日は勝つぞ!」
「「「「おおぉぉぉぉーーーー!!!」」」」
「セバスチャン様!?これはどのような味で!?」
「黒川!黙って食え!!美味い!この一言であろうが!!」
「小雪様?本当にセバスチャン様のご飯は美味しいです!」
「あらぁ?すずちゃんは嬉しい事言ってくれるじゃない?ちゃんと帰ってくるのよぉ?無事に帰ると美味しいチョコレートケーキ作ってあげるわぁ!」
「本当ですか!?約束ですよ!!!」
みんな仲良くできているな。俺は嬉しいぞ。
この日の夜俺はさきさんに呼ばれた。
「どうか戦の前に私の部屋に呼ぶ事をお許しください」
「え?何で?別に呼ばれれば来るよ?」
「いえ、戦の前に女が呼ぶのは・・・いえなんでもありません。暁さまの武勇で敵を屠る事は間違いないとは存じますがどうかこれを・・・お守りにございます」
「うそ!?これくれるの!?めっちゃ嬉しいんだけど!ありがとう!」
「どうか必ず帰って来てください!」
「大丈夫だよ。夜襲を仕掛けてすぐに終わると思う。その後、後詰めを織田様に頼んで交代して帰ってくるよ!」
「・・・・・はい」
迎えた次の日夕方前、館の時計で15時を過ぎた頃に進軍を開始する。今回は奇襲で且つ俺達はすぐ帰る予定だからそんなに荷物を持って行くつもりはない。ってか俺のインベントリーに入ってるから仮に数日掛かっても大丈夫だが。
「はぁ〜い!みんな注目!あーしが丹精込めて作ったお団子よ?黒夜叉隊の分しかないから食べてねぇ?これは黒川きゅん特別な団子よぉ?」
「某のだけでございますか!?」
「黒川!良かったじゃないか!我らのより一回り大きいぞ!?羨ましいな!?なぁ?みんな!?」
「え、えぇ。羨ましいです!セバスチャン様ありがとうございます!」
「大丈夫だと思うけどちゃんと帰ってくるのよぉ?」
懐かしいな。如月と昔、運営からの挑戦イベントで食べ物、(体力)飲み物、(気力)お菓子(やる気)使用不可のリアル時間5時間の大型イベントが懐かしいな。ってか何で俺と小雪には作ってくれないんだよ!?まあいいか。さて・・・行くか。
"コナユキよろしく頼むよ"
"了解!後ろの人達が遅れない程度で歩くね"
"小雪嬢!どうぞワテにお乗りください!快適な戦の旅をお届け致し申す!ワテは戦う事はできませぬが誰よりも小雪嬢の事を思っておりまする!安心してくだせ〜!男は誰も跨らせません!"
また変態馬が!お前もゲームでは戦える馬だったろうが!
俺達の歩はゆっくりだが着実に関ヶ原の方に向かって行った。間者対策で信長からの挨拶なんかはなかったが岐阜城からこっちを見られている気はする。信長の度肝抜いてやる!
俺達は関ヶ原を越え伊吹山に差し掛かる。道中往来の人に奇妙な目で見られるが話しかけられたりはしなかった。
「小雪?まさかこんな山の中歩くの!?ってか迫撃砲ポイントとか座標確認するの忘れたんだけどどうしよう・・・」
「大丈夫です。私が虫型偵察機とタブレットをインベントリーに入れ持ってきております」
「さすが小雪!どうもゲーム感覚が抜けてなくてな」
「そのくらい緊張しないとはさすがですよ。迫撃砲は射程距離が最大1.8キロはありますが余裕を見て1キロ付近まで近付こうと思っております」
「了解」
「望月さん?大丈夫です?」
「なんのなんの!むしろいつもより身体が軽く感じ、なんていうか漲るような気がします」
「そうです!暁様?なにか私達にしてくれたのですか!?全然疲れないし木なんかもこうやって・・・」
ドゴォォォォーーーーーンッ!!
え!?嘘!?みおちゃんは何者!?素手で木を吹っ飛ばしたんだけど!?
「おぉ!みお!やるな!ワシも!」
ドォォォォーーーーンッ!!
いやいやいやおかしいだろ!?どうなってるんだ!?
「小雪?どういう事!?」
「恐らく・・・セバスチャンでしょうね。出陣前に黒夜叉隊に渡していた団子に【英雄の薬】を混ぜたのでしょうね」
「え!?マジで!?なんなら俺が作戦前にみんなに飲んでもらおうと思ってたんだけど!?しかも、渡す前にカッコよく言葉でもかけて渡そうとしてたんだけど!?」
「あら?それは残念です。帰ってセバスチャンに言い聞かせないといけませんね!私がキツく言っておきますよ!」
いやそりゃ気付くセバスチャンは凄いよ!?英雄の薬って言えば名前こそ大層な名前だが調合は至ってシンプル。ゲーム初期のNPCおつかいミッションで貰える奥羽の山に居る馬にネームド付きが居るのだが、その馬が糞をした場所にのみ生える金月草(こんげつそう)という草と水を混ぜるだけである。
馬の糞から生えると聞けば敬遠しそうだがこの英雄の薬。優秀で、飲めば1時間の間、力、俊敏力、体力が3倍になるのだ。俺もよくおつかいをしていた。とあるNPCに話し掛けないとその馬が現れず乱獲もできないのでそこそこ貴重である。
「いやまあもういいよ。俺もみんなと親睦を深めたいのにセバスチャンに全部取られてしまう・・・」
「はいはい!暁様は大丈夫ですよ!」
そうこう話ていると遠くにまずは長比城が見えてきた。
「とりあえず偵察しようか」
俺はインベントリーから虫型偵察機を出しリモコンで操作する。黒夜叉隊のみんなもタブレットを見入るように見ている。
「暁様?この偵察機とやらは便利ですな?相手に気付かれずに相手の事が分かりますからな」
「そうですね。隠れて何かしてても分かりますし暗闇でも相手の総大将がどこに居るかも分かりますからね」
「あっ!この男おしっこしてる〜!!ばっちぃ〜!!」
「ちょ!市華ちゃん!女の子がそんな事言わない!」
「あっ!こっちの人もしてる!」
「彩葉ちゃんも!見たらだめ!」
「えぇ!?でも・・・」
俺は慌てて偵察機の方向を変えて建物の方に向けるが・・・
「でも小さいわね」
「うん。本当。信濃のあの行商人のより小さいわ」
名前も知らないションベンしてた男二人よ。俺の隊の可愛らしい顔した市華ちゃん、彩葉ちゃん、千代女さんに馬鹿にされているぞ?俺も人の事言えないかもしれないが。
「おい!千代女!お前あいつに抱かれたのか!?いつだ!?」
「え!?海野様に言われて・・・」
「ぐぬぬぬぬ!海野!!いつか絶対にーー」
「あっ、父上?海野様なら私が殺しました」
「なっ、何を!?ではこの怒りはどこに・・・・」
うん。いくら任務でも娘の情事は聞きたくないな。
「冗談はそのくらいで・・・・。まず俺が座標というものを合わせるので、この弾をこうやって筒に入れます。そうすれば耳を閉じて後ろに向いて発射されるのを待つ。簡単でしょう?」
「風華?望月様?市華?彩葉?あなた達はもう少し向こうの苅安尾城よ!」
「小雪?適当にいい場所が見つかれば電話で教えてくれ。その後同時攻撃に入る。デジタルスコープを忘れないように!もし危なかったり怪我したりすればすぐに退くように!」
「畏まりました!暁様も気を付けて!」
「暁様?電話とはなにですか?」
「うん?千代女さんは聞かなかった?これだよ。とある番号・・・これは数字を表す物なんだけど決められた番号を押すと相手と話ができる物だ」
「・・・・・・・・」
「おーい?聞いてる?」
「え!?あ、すいません!!!」
「どうしたの?」
「いえ・・・・最初の頃は怖い顔してあまり笑顔を見せない方だし私達に話す時も笑顔があまりない方だったので・・・最近はよく話掛けられるので優しい方なのかどうなのか分からなく・・・ただ、今電話を教えていただいている時は優しい暁様だなと思い・・・すいません」
「いや別に冷たく当たってるつもりはないよ?みんなが仕事ができるし業務的な返事しかしないから俺の事嫌われてるのかなと。それに千代女さんに関してはーー」
「それです!最初の頃は呼び捨てだったのに今は目線を落とし敬称を付けてお呼びくださります。暁様は私達の殿。行けと言われればどんな死地にもでも向かいます」
なんだろうな。特に意識してはなかったけど・・・せっかく家臣になってくれたんだからずっとみんなで居たいってのはあるかもな。いくらお互いあまり知らないとはいえ、今は一つ屋根の下で寝泊まりしてるし俺を見れば敬い色々聞いてくる子も居るしな。
「任務や仕事の事は強く言ってしまうかもだけど本来俺は優しい男だぞ?みんな小雪やセバスチャンと話してる事が多いから・・・」
"要は嫉妬してるんでしょう?暁君可愛い〜!!"
"コナユキは黙れ!!嫉妬なんかしてない!!!"
「それは暁様に話し掛けにくくて・・・」
そう言われ黒川さん、千代女さん、すずちゃん、みおちゃんを見るとみんなが頷いている。
マジか・・・結構ショックだな。今度から気をつけよう。実は裏で苦手な人とか思われたくないよ!?
「それは悪かったよ。じゃあこの戦が終わればセバスチャンじゃなく俺が飯でも作るよ!セバスチャン程は上手じゃないけどそこそこ料理してたから食べれると思う!」
「本当ですか!?すずは食べる事が好きになりました!!!」
そう!そう!これだよ!俺は健全だから15、6歳くらいの女の子に欲情なんかしないがこの笑顔は守りたくなる。時勢の都合上、戦には出てもらうが子供は本来良く食べ遊びたまに勉強し寝る!そうだな・・・どうせなら小雪と一緒に学校でもいつか開くか!
「あぁ!俺の家では食べたい時は食べる!雇ってる側の俺は家臣にひもじい思いはさせたくないからな。この戦が終わるまでに食べたい物を言ってくれ!俺が作ってやる!」
「「「ありがとうございます!!」」」
『テスッ テスッ 聞こえますか?こちら小雪隊どうぞ』
「聞こえるよ!」
『ただ今配置につきました』
「了解。180秒後にそれぞれの目標に迫撃砲を発射。後に、城に近付きスモークグレネードを投擲 城を制圧する。遠慮はしないように。以上」
『小雪隊了解。あのハードモードでやった常陸の小田家の時みたいにワクワクしますね』
「あぁ。懐かしいな。架空戦記の常陸侵攻戦だろ!?あんなの防げるかよ!」
『あの時は今川、上杉、武田、村上、織田、六角、朝倉と多数のプレイヤーに攻められましたからね!私達みたいに少数から始まり気付けば何十万と攻められバンバン迫撃砲やら直射砲を撃ち込まれましたね。また後で話しましょう。通信終わり』
懐かしくも思うし思い出したくもない。あのイベントは今でも覚えている。ゲーム内にランダムで出現するそこそこ強い服飾を作る素材がサブアカウント常陸 小田家でプレイしてた時に湧いた。
そのアイテムがまさかの俺がプレイしていた常陸に・・・。俺は何故、常陸に湧くんだ!と思ったさ。あれは仮に廃課金しているメインアカウントでも防げなかったと思う。
「暁様は昔、常陸に居られたのですか!?」
「うん?いやいやいや、なんて言えばいいだろうか。俺がタイムスリップした話言いましたよね?その時ゲームの件(くだり)覚えてます?そのゲームの架空戦記の事ですよ!」
「後学のため館に帰ればこの黒川に教えてください!」
「ははは!勉強熱心ですね!かまいませんよ!酒でも飲みながら話しましょう!」
こうやって少しずつ仲良くなって行こう。みんな嫌とも言わずここに来てくれたしな。さて・・・堀何某・・・会ったことないけど倒させてもらうぞ!
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