料理天下一
「なんだ?」
「この後数日すればお館様は浅井を殲滅します。その戦の時朝倉も出張ってきて姉川にて対峙します。この戦自体は問題ありません勝利します」
「大橋殿も姉川が決戦の場と見るか。ワシもだ」
え!?いやいやいや予想じゃなくマジなんだよ!
「森様?お聞きください。大切な事でございます」
「そこから暫くゴタゴタがありあなたは宇佐山城に詰める事になります。その時にあなたは戦死します」
言ってしまった・・・もう後には引けないぞ。オレがこの人を守ってやる。
「それは預言の類か?」
「いえ。事実です。そして私はあなたを死なせたくありません」
オレは信長に言ってる未来から来てる事を伝えた。他には明智、羽柴、竹中が俺の事を知ってると伝え、明智は俺の事を敵対とまではいかないがいい目で見られていないと伝えた。
「なんと?げーむとやらの世界から来られたのか!?」
いや盛大に勘違いしています。ゲームは遊びですよ!!
「いや、一旦ゲームから離れてください。要は未来から来て今、居る皆さん。大きく名前が残っているのが、織田様、森様、羽柴様、明智様、佐久間様、丹羽様、他にも滝川様はまだ見た事ありませんが知っています」
「それで大橋殿が居た未来ではこの年にある戦で死ぬと?」
「はい。それも後、四月以内くらいだったと思います」
「ワシは預言の類なんかは嫌いだ。そんな事で物事が左右されるのなら世話ない。だが、大橋殿の言は確と受け止めておく。礼を言う。ワシは其方達には負けるが他の者には負けぬ!」
「その時が来れば私が守ります。まだまだあなたは織田に居てください」
無言で晩餐室に戻る森可成の背中を見て思う。大くは語らない人だけどこの人のような背中で語れるような人になりたい。
「小雪?俺、森可成を守るよ。あの人は死なせちゃいけない」
「では、ゲームの時のように改変しましょうか」
「そうだな。この出来事も本来はないはずだから既に歴史は変わってるはずだ。今更だけどね。さて・・・デザートを出そうか!」
「いいや!びーるの方が美味い!」
「違う!この澄み酒の方こそ至高!」
「お主ら二人とも馬鹿か!?この焼酎を飲んでみろ!これをさいだーとやらと混ぜると更に美味いと言われ試したが飛んだぞ!?」
「ちったぁ〜静かに飲まねーか!!煩いだろうが!」
「明智様すいません」
「兄者は飲まないので?」
「うむ。どうもワシは彼奴を好きになれぬ。先の戦では助けられたがな。位階も、従五位下だがお館様に上手く取り入れたように見える」
「では信じておらぬと?」
「そうとまでは言わんが・・・どうだかな」
「あっそうですか。俺は飲みますよ。大橋の酒は美味いですからな!飲まないなら兄者の物は俺が飲んでさしあげましょう」
「やるとは言うておらん!おい!こら!返せ!」
色々思う事はあっても酒にはあの明智も勝てないと。
「お待たせ致しました!腹が満たされた所でデザートのバニラアイスです!匙でお掬いください!冷たくて甘いですよ!後、本日お使いになった皿は皆様に土産としてお渡しします。皿の他に少量の菓子も入れておきます。家の人達とお食べください」
「おい!これは冷たいぞ!」
「本当じゃ!何故冷たいのだ!!?」
「白いぞ!先の米も白米だったがこれも米でできておるのか!?」
いや誰か皿の事も言ってくれよ!?作ったのは錬成機だけどデザインは俺が考えたんだぞ!?
「これが欲しかったんだよ!」
「兄上!?この皿が欲しかったのですか!?」
「重矩!お前もさっきまで良い!良い!と言っていたではないか!」
「え!?そんな事一言も・・・えぇ。確かにこの皿が欲しかったのですよ!さぞ高名な方が作られたのかと気になっていたのであります!」
なんか竹中兄弟に気を遣ってもらい辛い・・・。弟の方も途中で気付き言い直した感が満載なんだけど・・・。
「ほう。ばにらあいすとな?何故冷たいのじゃ?」
「冷やして作るからでございます。ちなみに冷やすのはそんなに難しくありませんので。河尻様は気になりますか?」
「い〜や?冷たい甘味は初めてだからな。うむ!美味い!」
なんかあまり喜怒哀楽を出さない人なのかな?ぜっんぜん美味しそうに見えないけど?
「ほっほっ!ばにらあいす・・・いと美味し!将軍がこの者達を欲するのが分かりますな」
「この者達はワシの者。死んでも渡しませんぞ」
「お館様!俺は!?俺はどうなのだ!?」
「おい!犬!お前はそこそこだ!励め!」
「はい!嬉しいお言葉ありがとうございます!」
「お館様!某は!?」
「佐々!お前もまあまあだ!励め!」
「おい!駄犬!お主より俺の方が些か上のようじゃな?」
「な、なにを!?まあまあよりそこそこの方がいいではないか!クソチビ男が!」
「なっ!表に出ろ!」
「二人とも・・・・関白様の前ぞ?控えようか。関白様申し訳ございませぬ」
「これだから武家は好かんのじゃ。まあ良い良い。争うなら他所でやってくれ」
とことん俺はこの二条何某が嫌いだ。それにしてもさすが森可成だ。一瞬で二人を黙らせたぞ!!それにしても、前田利家も佐々成政も因縁があるのか!?
「後でキツく叱っておきます故に二条様は平に」
「ほっほっほっ。良い。だがこれは誠に美味し!何個でも食べてしまいそうじゃ」
「ワシも初めて食べまするが・・・本当に美味い!」
「ほっほっほっ!良きかな。ではここで一句書こうかのう」
あぁ〜!また面倒な事言い出したよ!一句なんかいらねーよ!
「ははは!二条様はこんなところで句なんかもったいのうございますれば。城の方に一室用意致します。そちらへ移動を…」
信長も句は嫌いなんだな。上手いこと遮っていたわ。
「これ!料理人!今まで食した物で圧倒的一番の美味さであった!料理天下一!この称号を麿が授けよう!」
「作ったのは私ではなく、妻の小雪の方でございます。よろしければ妻の方に・・・」
「ふん。女子は男を立てるものじゃ。ではな!」
料理天下一・・・恐らく気まぐれで付けたこの称号が二条晴良の運命を助ける事になる。それはまだ先の話。
「すまぬ。ワシは二条殿を城に連れて行く事になった。悪いが後は任せる。今日は急な事ですまなんだ。いずれ埋め合わせを」
「織田殿?はようしなされ!麿の時間は大事なのじゃぞ!」
信長も本当はあの人嫌いなんだろう。とりあえず成功でいいかな?
「さて・・・ここからは気を使わず皆様で飲みませんか!?」
「「「「オォォォォォォォォーーーーーッッッ」」」」
怒号のような掛け声が起こった。やっぱみんな気を使って飲んでたのかな?
それからピッチは上がり古酒やハブ酒、泡盛なんかも倉庫から取り出し大宴会となった。乾き物はポテチやスナック菓子、これから親しくしたい人や俺の事を否定しない人達にはウィンナーやじゃがバターなんかを出した。
「うぃんなーとやらも美味し!うむ。実に美味し!」
河尻さんはマジでポーカーフェイスだな!?まったくの無表情だな!?
「大橋!生はむとやらがちょうど良い塩梅どな!この塩っ辛いのが澄み酒と合うぞ!」
「ははは!食べ過ぎに注意してくださいね!羽柴様は確かねね様という方と結婚されているとか?お土産にこれをどうぞ。女性は喜ばれる物だと思いますよ」
「すまぬ。じゃがよく知っていたな?」
「そりゃ、有名ですからね。未来では。恋愛結婚だったのでしょう?」
「シッ!言うな!皆の前では金輪際言うでないぞ!!」
「すいません!まあ、帰ればお渡しください。チーズケーキといい、頑張ればこの時代でも作れますよ」
「何か分からぬが貰っておく」
「おい!クソ犬!貴様にはじゃがばたーちーずとやらだが何故俺はじゃがばたーめんたいこなんだ!?」
「ふん!知れた事!見ればお館様に近い者だけ別の物が出されているであろう?つまり大橋から見ても俺の方が大事という事だ!分かったか?ちび助!」
いや小雪もわざと違うの出しただろ!?これはこれで面白いけどな。
その後みんなへべれけになりながら時計が11時を過ぎた頃にようやくみんなは皿とお土産を持って帰って行った。ただ誰一人として皿の事は言ってくれなかった・・・。一人を省いて。
「だから兄上!早く帰りますぞ!」
「重矩!待て!これは違うのだ!私はここに住むのだ!」
「何を言ってるのですか!?得月院様に叱られますよ!」
「ははは!仲が良い兄弟ですね。半兵衛様も今度奥さん連れて来てください!また歓待しますよ」
「本当ですか!?言質は取りましたぞ!重矩!帰るぞ!そして明日は泊まるぞ!」
「え!?何馬鹿な事を・・・・大橋殿申し訳ない。兄は言い出せば必ず実行する方なのです。明日来ても追い返してください」
「いやいや竹中様夫婦と少しの側仕えくらいなら泊まれますのでかまいませんよ。竹中様とはこれからも交流を深めたいと思いますので」
「まさか・・・大橋殿はそんなに綺麗な奥方が居ても飽きて・・・兄上はいくら顔が良いからとそれは・・・」
はっ!?違うから!普通にこの時代の友達が欲しいだけだわ!
「違う!違うから!普通に友人としてですよ!じゃあ帰り気を付けてくださいね!」
「最後に前田様?」
「おう!今日は美味い酒、食い物ありがとうな!今度俺の家にも来い!これ程の物は出せぬがもてなすぞ!」
「ありがとうございます。では今度お邪魔させていただきます。それと遅いので申し訳ありませんが、おまつ様でしたよね?それと濃姫様にお渡ししてくれますか?チーズケーキというお土産です」
「うむ。まつも喜ぶであろう。分かった!濃姫様にもお渡ししよう。大橋!またな!」
「やっとみんな帰ったか・・・小雪!お疲れ様!ありがとうね!それなりに仲良くなれたと思う!」
「暁様、お疲れ様です。久しぶりに湯船に浸かりますか?お湯は張ってあります。背中も流しますよ」
そうだった・・・。小雪と戯れる約束だった!
そして、風呂でムフフになりつつ課金ベッドに横になり事を致そうとした時、侵入者アラームが鳴った。
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