信長狂喜乱舞

 「これはなんじゃ!?いやいや、こっちもなんじゃ!?気になる物が多すぎるぞ!!」


 「いやそれは虫型カメラのリモコンで…あっ!それは珍しく限定なのに一発で手に入れた錬成機です!」


 「錬成機?なんじゃそれは?」


 「え〜と・・・なんて言えばいいかな・・・。今織田様は鉄砲隊を重視してると思いますが、鉄砲隊には何が必要ですか?」


 「そりゃ、もちろん銃もそうじゃが火薬もじゃ」


 「火薬を作るのに硝石が必要かと思いますが確か明の輸入に頼ってましたよね?」


 「以前はそうじゃったが今は糞、尿を土と灰汁で混ぜ時を待てばできる事が分かりそれをワシの領土一帯で作っておる」


 え!?嘘!?もう作られてたんだ。もう少し後かと思ったよ。


 「それは完成するのに2年程掛かりますよね?この錬成機はその2年という時を数分で終わらせる機械です。例えば私の家の庭に小屋を建てておりますがその中に蚕が居ます」


 「蚕とはあの芋虫のことか?」


 「見た目はそうです。他にはどんぐりや雌日芝(めひしば)、姫女苑(ひめじょおん)など各種育てておりそれらの灰汁で火薬を作ります。見ててください」


 俺は庭に出てすばやく草と蚕の糞を取った・・・まあさっきカッコよく植物の名前を言ったが謂わば・・・雑草だ。然も育てているかのように言ったけど。


 さて、この二つをこの錬成機の空いてる所に入れ、この赤色の取手を押します。少量なのですぐできると思いますよ。


 ピンポーン!


 「うは!?なんだ!?なんだ!?なんか鳴りよったぞ!?」


 「出来上がった合図です。下の透明の板を開けてみてください」


 「これは・・・まさか・・・火薬か!?」


 「御名答!入れた物全ての原料を余す事なく使い再利用します。ちなみに火薬作りの副産物として石鹸なんかも大量生産できますよ。ってか、倉庫に山のようにありますよ。後は蚕の繭から別の部屋にある錬成装飾機に入れて好きな形を入力ーー」


 「試してみたい!案内せい!」


 あぁ〜・・・ゲームではそのイベントイベントの新しいアイテムをコンプリートしないと気が済まないから色々課金して購入したりガチャで当てたりしたがゲームでは見た目だけだったからな・・・。あの苦労が水の泡とならなくてよかった・・・。色々買ってて良かった!!


 「こちらです」


 「この部屋もまた良いな。ほのかにいい匂いもしておる。この匂いは・・・橘か?」


 「さすがです。これもさっきと同じでこの蚕の繭を入れ、色となる柑橘の皮や藍、 茜、紅花などで染色します。これは仮で藍を入れますね。そしてここを見てください。こうやって横に移動させると色々な形があるでしょう?」


 「待て!待て!これはどうなっておる!?訳が分からぬぞ!?」


 「こればかりはこんな物と思ってもらうほかないかと。私もこれは説明できません。とりあえず続けますね。羽織りにしましょうか」


 俺は装飾に背中に織田木瓜紋の刺繍を入れるように入力した。羽織は藍色で家紋は橘の黄色にした。かなり目立つな。まっ、お試しだからいいかな?


 ピンポーン!


 「同じようにしたから引き抜いてください」


 「おっ、おぉぉぉ!!誠、羽織ができているではないか!!しかもこの手触り・・・良いではないか!背中の家紋・・・木瓜紋・・・わざわざこれを仕立ててくれたのか!?」


 「まあ、作ったのはこれですがそれはお近づきにどうぞ。色合い的に目立ちますが織田様なら似合いますよ」


 「すまん!これはいただいておく!他には何があるのじゃ!?」


 俺はその後も色々な兵器を見せたり、大型冷蔵庫を見せたり、テレビを見せたり、フカフカな布団を見せたりした。兵器は撃ってくれと言われたがさすがに城下の人が死んでしまうかもしれないからと断った。


 後はテレビに驚いていた。残念ながら普通のテレビは映らなかったが有名映画などが多数あったのだ。ゲームでは手に取る事すらできなかったテレビがガチャで当たれば勝手にレイアウトとして組み込まれた物だ。


 「ちなみに先程の虫型カメラ・・・スイッチを入れてと・・・」


 「なんじゃ!?ワシがもう一人おるぞ!?どうなっておる!?」


 「この蝶々が見た物をこのテレビに映してるのですよ」


 「・・・・・・・・・」


 「あれ!?どうされました!?」


 「それは・・・まだ余裕があるのか?」


 「え?これですか?捨てるくらいありますけど?」


 そりゃそうだ。ゲームでは色々なイベントがあったが、イベントがない日にはログインボーナスでこの虫型カメラや鳥型カメラ、亀型カメラなど他にも色々ログインするだけで貰えるのだ。


 しかも色々カモフラージュして、他勢力のプレイヤーを偵察しようとしてもリアルマネー100円でジャミングネックレスという物があり小型のカメラ類は一切見えなくなる物で中級プレイヤー以上はほぼみんな装備してるから所謂・・・ゴミだ。


 「これを偵察として使わしてはもらえんか?」


 「いいですけど、わざわざ私の家でしなくても倉庫にあるモニター持っていけば城でも見えますよ?」


 「でかした!とりあえず5個程回せ!人員はワシが城に戻れば決める!その者達に使い方を教えろ!」


 「分かりました。後、小雪が狩りに行ってます。よければ私と小雪が料理を振る舞いますので今日は親睦を深めるため家臣の人達も呼んで飯でも食べませんか?酒も用意しますし、甘い物も用意しますよ」


 「あまい・・・ものだと?」


 甘い物に反応したぞ!?


 「そこまで家臣に言われ断るのは失礼じゃ!何人程収容できるのか?」


 「下の宴会場使うので・・・150人くらいは入れると思いますがとりあえず主要な人を紹介していただければと思います」


 「ほう。岐阜城に負けぬ部屋があるのだな?だが貴様の負けじゃ!岐阜城は200人収容できる部屋がある!励め!」


 いや負けず嫌いかよ!?励め!ってどういうことだよ!?


 「たっだいま!!」


 え!?もう小雪は帰ったの!?


 「なんじゃ?小雪はもう帰ったのか?っておい!その猪は立派じゃな!」


 「一刀の元あの世に送りました。大切にいただきましょう。外にまだ狩ったものが居ますので」


 「小雪?ごめん、晩餐会開く事になったから一緒にご飯の用意しよう?」


 「分かりました!織田様?暁様と私が見た事食べた事ない物をお作りしますね!」


 「甘い物も忘れるなよ?ワシは今から早馬にて書状を出す。いつ頃参れば良いぞ?」


 「夕方6時ーー」


 「酉の刻6ツくらいに来訪していただけますか?」


 「心得た。楽しみにしておるぞ!」


 その昔の時間の言い方が分からないな。覚えるか学習して信長とかに覚えてもらう方がいいな。さて・・・料理頑張るか。

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