4 魔法
「姫ちゃん様、痛いだろうけど目をつむって。
風神様、悪しき風を吹き飛ばし
姫ちゃん様、目を開けて!」
ヤルミラさんが大きな体を小さく畳んで、田舎のお
いわれたとおりに目をつむって、目を開けると、裂けて血がにじんだ靴下はそのままに傷口は跡もなくきれいに塞がっていた。これは、たいした魔法ですわ。
まだ少しヒリヒリする痛みは残っているけれど、これならたぶん大丈夫。
エマ、すがりついて泣かないでいいから、周りの人たちの誤解を解いてほしいな。いや、誤解かな? ……誤解じゃないかもね。外から見たら普通に粗相したメイドを鞭打とうとした主人だったものね。
別に、いいのかな?(1d6️⃣ 偶数は○奇数は×)2️⃣【マシな判断】
いや、周囲の人が
「エマぁ、なんとかして。頼みましたよ。」
私が弁明するよりエマに任せたほうが、なんとかなるでしょ。ならなかったら、もう仕方ないね。
じゃあヤルミラさん、教室に行きましょうか。
怒りと無力感と絶望をないまぜにした表情のエマを申し訳ないけれど1人残して、私と大きなヤルミラさんで教室に向かう。時間をかけちゃった、早く行かないと。
あ、痛い!
「あー、皮膚の下が治りきってなかったのかな。お姫ちゃん様、治療魔法が効きにくい? 掛けられ慣れた体には効き目が弱くなるんだよー。
じゃあ、おぶって行ってあげるね。肩車にしよっか。」
肩車って何かしら? ……お、おぉ? 高い、高すぎる! 地面が遠い、待って、落ちる、死ぬ、助けてエマ!(不幸度 1d6️⃣)【3️⃣】
🎲
なんとか始業に間に合いつつ、死なずに教室までたどり着いた。
大きい娘に肩車されたままの元気な入室で、私はドアの上のところで顔をぶつけた。さすがにこんなことは人生で初めてだ。
このことでヤルミラさんに真っ先につけられたあだ名が〝不敬罪〟。本人は良くわかってないみたいだけれど、可愛くて良いあだ名だと思う。若干、含むところはある。
クラスメイトは(2d20)6+5【11人】。思っていたより少ない。
クラス分けで最上位組だからだって。ヤルミラさん、賢かったの? まあ、魔法を3属性も持っていれば、多少のアレはアレでも?エリート中のエリートだよね。
クラスでもう中心人物の顔をしているのは、もちろん新入生代表・正王妃実家アベスコヴァ公爵家のジョフィエちゃん(11+1d4️⃣)1️⃣【12歳】。飛び級で最優秀、凄いし偉いよね。
(1d6️⃣×10+110)6️⃣【170】cmの恵まれたボディ、(地味<1d6️⃣<美貌)2️⃣【そばかすのほっぺにメガネを乗っけて、細い目】で私たちを睨んでくる。演壇でも見ていたけれど、幼さを残した面持ちが私より30cmも上にあって、いろいろビビる。
「アナタが噂の〝下のデタラメ王女〟で〝留年王女〟ね。私は〝奇跡の星〟にして〝女神の愛し子〟ジョフィエ=アベスコヴァよ。1年間よろしくね。」
初期親愛度(1d100)【令嬢→姫:52】【姫→令嬢:82】
まぁ!さっそくあちらから挨拶に来てくれるなんて、とってもいい子! 誰とも一言も喋れない日々を想像してたのに、もうお2人と話すことができた!
「あら!まぁ! ご挨拶、痛み入りますわ。
この挨拶は練習してきたんだ。ちゃんと、いつもより早口で言えてよかった。
ジョフィエさんの後ろの人たちもぐるりと見渡して、ペコリと頭を下げて。あれれ、反応が悪い。どうしたものかしら。
それにしても、1年間よろしくって、学校は3年あるのにどういう意味だろう?
まごついていると、開きっぱなしだった扉から(1d6️⃣ 偶数は女奇数は男)6️⃣【女性】の先生が入ってきた。(弱<1d6️⃣<強)4️⃣
「開けた扉は閉めなさいね。」
先生が子供に教えるようなことを呆れたようにおっしゃる。でも締め忘れたのは私だ。恥ずかしい!先生にも頭をペ「もうしわけありまっセン!」
大きいヤルミラさんが大きい頭を大きくブンと下げて、大きな声で叫ぶ。
あまりの迫力に先生も目を白黒させて絶句しちゃってるし、私も一緒に謝らないといけないとは思いつつ、ビックリしすぎて頭が真っ白。
🎲
「わ、わかればよろしい。えーっと、貴方が平民出のヤルミラね? 早く友達を作って常識的なことを教わっておくように。」
「ハイ!お姫ちゃん様と友達ですので頑張って教わりまっすル! ね、お姫ちゃん様!」
「あ、そうね…ハㇵ、よろ、しくね…。あと、私、シャールカね。」
「ハイ!お姫ちゃん様!」
「…もう、それでいいわ。」
「えぇっと、皆さん静粛に。
私が、今年の1年間、このクラスの担任と魔法実技・魔法座学を担当します、パウラです。
皆さんそれぞれに優秀であるとのことですが、指導や決まり事に従わない場合には当然、罰則があります。その権限を陛下より賜っていますので、たとえ殿下であれ、この学園の中では従っていただきます。よろしいですね。」
「…へ!? あ、ハイ、お願い申します…」
急に話を振られたので、扉の件で謝りそびれたこともあって心臓が止まりそうになった。もし本当に止まったら先生もご迷惑だろう。止まらないようにしないと。
パウラ先生は(2d20)5+17【22歳】、この難しいクラスを任されるにふさわしい若き俊英だ、と後で聞いた。実家の位は(弱<1d6️⃣<強)4️⃣【伯爵家】。(1d6️⃣×10+130)2️⃣【150】cm、容姿は(地味<1d6️⃣<美貌)3️⃣【お硬い感じのメガネ先生】。
私なんかは彼女に見られるだけで身が竦むけれど、クラスの雰囲気はちょっと先生を見くびるような緩んだ空気。その中心にはジョフィエご令嬢。
さて、どうなることやら。胃が痛むわぁ。
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