第8話 カイロスの星

 ほこらから放たれる青白い光が強さを増し、銀河の森の中心を揺るがし続ける中、星羅せいらとシエルが転位陣ワープシフト・ドライブを抜けて到着した。荒れ狂う地形の中で、星羅の視界に飛び込んだのは、地割れに挟まれた宙太の姿だった。


宙太ちゅうた、待ってて…!」


 星羅は震える手で宙太の腕を掴み、全身の力を振り絞って引き上げた。荒れ狂う地面の振動に足元が揺らぎ、何度も倒れそうになりながらも、決して手を離さなかった。


「大丈夫!息をしてる…!」


 呪文で宙太の額の血を止め、名前を呼び続ける星羅に、宙太は微かに瞼を動かし、かすれた声を漏らす。


「姉さんは…どこ…?」


 星羅は周囲を見渡すが、星恋せいれんの姿は見当たらない。ほこらの光が森全体を包み、地殻変動を引き起こしているだけだった。


「宙太、星恋さんは、まだどこかに…」


 その時、再び地響きが鳴り響いた。祠を中心に大地の隆起が激しさを増し、森全体が不気味な音を立て始めた。星羅は混乱し、ただ呆然とその光景を見守る。


 その時、祖母の星詠せいえいが現れる。杖を掲げ、祠から放たれる仮死光線クロノス・レイに向けて呪文を唱え始める。


星霊ネビュラよ、このまわしき光を沈めたまえ…」


 光がわずかに収束し、星詠は静かに語りかける。


「宙太は助かった。私は村人たちの救出に向かう。そなたたちとは、ここで別れよう。」


 星羅は胸を痛めながらも、ほこらの異様な光景に震えながら叫ぶ。


「どうして…どうして、こんなことに…!私だってニウエの村を守りたい!!」


 星詠は厳しく言った。


「ダメじゃ、今はほこらの力が暴走している。未熟なお前たちが負の感情に支配された呪文を多用すれば、ユーフォニア大陸だけでなく、惑星オルビス全体が危機にさらされるぞ!」


 宙太は握りしめた水晶を見つめながら、決意を固める。


「僕は、祠の力に触れて星霊ネビュラとの繋がりを失った。でも…これで終わりじゃない。」


 宙太は立ち上がり、拳を握り締め、決意を込めて続けた。


「この世界のどこかにいる“星弥呼マスター”を探し出して、星霊の力を取り戻す。それが僕に託された運命だ。姉さんも、必ず見つけてみせる…!」


 *****************


 ※注釈

 1,仮死光線(クロノス・レイChronos Ray):祠から放たれる、時間を歪める力を持つ光線。生命を仮死状態にする能力を持つが、星詠の呪文によってその力を抑えることができる。

 2.ユーフォニア大陸Euphonia Continent:物語の舞台となる大陸で、精霊や呪術が支配する地域。祠の力が暴走すると、大陸全体に危機が及ぶ可能性がある。

 3,星弥呼(マスターMaster):星霊と繋がるために必要な存在。宙太が探し出すべき、星霊の力を取り戻すための鍵となる人物。

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