第4話 帰還の影
夜が更け、銀河の森から戻った
しかし、その星恋が姿を消したのは、一族にとっても宙太にとっても大きな衝撃だった。とくに、その時期は姉が深い悲しみを抱えていた時でもあった。星恋には
流太の最期の日、星恋はその傍に寄り添い、静かに彼を見送ったと聞いている。家族の中で唯一、星恋だけが流太の最期を看取ることを許されていた。それは星恋自身が彼のそばにいることを強く望んだからだった。そして、彼女は一晩中流太の手を握り、
翌日、星恋はいつものように穏やかに家族と朝食を取り、何事もなかったかのように微笑んでいた。しかしその夜、彼女は両親や宙太が寝静まるのを待って、家を出た。その後、彼女から届いたのは一枚の置き手紙だけだった。
『必ず戻ります。
その短い言葉は、星恋がなぜ姿を消したのか、どこへ行ったのかを全く示していなかった。それから家族は手を尽くして星恋の行方を探したが、結局何の手がかりも見つからなかった。まだ宙太は、流太の死が星恋にどれだけの影響を与えたのか、まだ理解しきれないでいた。星恋がなぜ突然姿を消したのか、その理由を彼なりに考えようとするたびに宙太の胸を締め付ける、その感覚に耐えきれず、彼は寄り添うシエルを撫でながら、自分を落ち着かせようとした。
♢
翌朝、
「行方不明になっていたアリシア・ニウエ・ミラ・星恋さんが、先ほど保安ターミナルに姿を現しました。彼女は『私は行方不明になっていたのです。届け出を取り下げてください』と告げました。」
その無機質なオペレーターの言葉に、家族全員が息を呑んだ。宙太は母・
「星恋が…戻った?」
父・
宙太の頭には銀河の森での儀式で聞いた「大いなる変化」という言葉がよぎる。星恋の帰還は、何か得体の知れないものの始まりではないのか――その考えが頭をよぎり、宙太はゆっくりと歩を進めた。その先に待つ答えが、すべてを変えてしまうような予感を抱えながら。
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