境界の奇跡、時の残響

悠鬼よう子

プロローグ

坊よ 命のはじまりの音に耳を澄ませ

この世界は、静かな森の囁きと風の歌で満たされている

星の光が導く道が、お主の前にそっと広がる


坊よ 空は広く、川は流れる

君が歩む道は、森の木々と共に揺れる

すべてが繋がり、すべてがお主を見守る


坊よ 小さな瞳の奥には無限がある

星々の導きに耳を傾ければ

お主はいつか、自らの足で光を見つけるだろう


坊よ ここに生まれた理由がある

霊魂を視る力、思いを届ける力

それらは血と共にお主へと流れている


坊よ 今はまだ小さな手を握りしめて

世界の音をひとつずつ覚えていくんだ

その先に広がる道を、お主の心で見つけるまで


坊よ お主はこの大地の子

世界をつなぐ者として、星と語る者として

やがて光の中で、お主自身の答えを見つける日が来る


坊よ 広く、深く、慈しむ者となれ

祖母の柔らかな手で、額を撫でるその仕草に

母なる大地の安らぎが宿り

父なる星々の力が流れ込む



星々は輝き、一つの名を小さくささや


———「宙太ちゅうた」と


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