第46話
「ここ、かな」
お店からそう離れていない場所に、そのアパートはあった。
どうやらあのお店の嬢専用らしい。
紙に書かれた番号のドアの前まで来て、インターホンを鳴らした。
──ピーンポーン…
…………。
出てこない。
眠っているのだろうか。
もう一度押してみる。
──ピーンポーン……
出て、こない。
「あら?彩ちゃんの知り合い?」
「あ…。
…は、はい」
別の部屋から出て来た中年の女性が歩み寄って来た。
穏やかそうな、お母さんのような雰囲気の人だ。
「彩ちゃんねぇ、もう帰ってこないわよ」
「え…」
「ここから出されるなんて相当よ?
大丈夫かしらねぇ」
「あ、あの…」
話を聞くと、どうやらここは、借金で埋もれてしまった人たちが最後にたどり着くような場所なんだとか。
だから、ここを出て一般企業に戻って行く人はいないらしい。
そこを、今日の早朝に中森さんは無理やり出されてしまったそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます