第46話




「ここ、かな」









お店からそう離れていない場所に、そのアパートはあった。

どうやらあのお店の嬢専用らしい。



紙に書かれた番号のドアの前まで来て、インターホンを鳴らした。









──ピーンポーン…











…………。

出てこない。

眠っているのだろうか。



もう一度押してみる。







──ピーンポーン……














出て、こない。






「あら?彩ちゃんの知り合い?」


「あ…。

…は、はい」






別の部屋から出て来た中年の女性が歩み寄って来た。

穏やかそうな、お母さんのような雰囲気の人だ。





「彩ちゃんねぇ、もう帰ってこないわよ」


「え…」


「ここから出されるなんて相当よ?

大丈夫かしらねぇ」


「あ、あの…」





話を聞くと、どうやらここは、借金で埋もれてしまった人たちが最後にたどり着くような場所なんだとか。


だから、ここを出て一般企業に戻って行く人はいないらしい。





そこを、今日の早朝に中森さんは無理やり出されてしまったそうだ。







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