第30話




「あんたさ、ろくに食ってねぇだろ」


「ぅ……」







正直なやつ、と貴都が笑う。




スっと、貴都の雰囲気が変わった。

変わったような気がするだけで、変わっていないかもしれない。









でも、明らかに、何かが変わった。











ソファーの上では、藤也と樹が幸せそうに笑いあっている。









「お前、……俺に見つかって残念だったな」










私の左頬に触れた手は、温かい。

私を見つめる瞳も暖かい。


それなのに。



なにか、とんでもないものにはまってしまったかのように背筋が冷えた。









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