第2話

 僕は早速さっきまで音が聞こえていたところを探し始めた。どうせ暇なのだ。これくらいのことをやれば少しは暇つぶしにでもなるだろう。そんな軽い気持ちで、僕はあの若い女の声が聞こえた場所に向かった。

 僕のいたところから声がしたところまでは、だいたい数メートルの距離で、そこに着いた時、僕は自分が無意識に正座していたことに気づいた。


 高鳴る胸とあの衝動——久しぶりのことだった。僕は、本の海をかき分け、先ほどと同じ音がするかを確かめ始めた。


 せっかくだからとかき分けた本を何冊か読んだ。どれも昭和中期や後期に第一刷が発行されている。「となれば隠した誰かさんは数十年前の卒業生か?」


 いや、ごくたまに古い小説が好きな集団がいる。あの女もそうだったのだろうか。

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