校内三大美女と呼ばれる彼女は下ネタが好きすぎる。
赤目
1シコ目 乙女の秘密
※この作品には
「ねぇ、私たちってもうそろそろ10回目のデートじゃん。いつセッ◯スするの?」
「まだもうちょっと待って……ごめんね」
「ふんっ、優くんも結局はそこらへんの童貞と同程度ってことね」
彼女の言葉が胸をつんざく。彼女の言う通り、僕は付き合って一年、ホテルに誘うことすらできないし、そんな空気にもできていない。
「どうてい」でダジャレを言ってるつもりなんだろうけど、笑えなかった。
「ほら、早くボウリングしよ。さっきのは軽いジョークだから。そう言えば、ボウリングのピンってTE◯GAみたいじゃない?」
「色の比率が逆でしょ……似てるの形だけじゃん」
「そう? ほら、どっちも叡智な行為のときに使うでしょ?」
「ボウリングのピンを何に使ってんだよ!」
彼女のイかれたソロ活動の全貌が分かったところで、レーンに着く。名前を打ち込むといざボウリング初め。
彼女は腰あたりまである艶やかな黒髪を靡かせて、9ポンドのボールをストレートで投げる。それは吸い込まれるように1番手前のピンに。綺麗な音を立てながら、TE◯GAは全て倒れる。
「やった! ストライクッッッ///」
「全部台無しなんだけど……」
小刻みに腰を振りながら先に戻ってくる気持ち悪い女の子––––
座右の銘は『三度の飯より一晩のオカズ』
好きな言葉は『成功、偉大、好き』
繋げて読んだら『性行為大好き』
クレイジーな彼女だけど、学年三代美女と謳われる1人。因みに残念美少女とも言われてる。その理由を言うのは野暮だろう。
「優くんの番だよ。そうそう、ボウリングの球って穴が3つあるよね。何と同じとは言わないけど穴が3つあるの」
「2回も言わなくていいよ。分かってるから」
「しかも穴の2つには中指と薬指を入れるんだって。ごめんなさい、他意は無いんだけど。それと、穴とアナ◯って響きが似てるよね」
「他意はあるし節度はないかな」
緋奈は上品に下品なことで笑いながら僕を送り出す。一球目はすぐにガター、二球目は右の方のピンを2つ倒して終わり。
「私に勝つ気ある? やる気もヤる気もないのはどうかと思うんだけど」
「精一杯頑張ってこれなんだよ!」
「性いっぱい頑張ってこれ?」
「なんか違う!」
その後も彼女とボウリングをしていく。結果は惨敗。スコアは180対85でボロ負け。まぁいつものこと。
「相手にならないね」
「緋奈が強すぎるんだよ。僕は多分、平均だと思う」
「日本人の平均は平常時で8センチ、戦闘体制で13センチらしいよ」
「なんの話してんの……」
戦闘体制て……。まぁ、思春期男子は戦士から賢者だけでなく、紳士まで網羅する役職なんだけども。大人になったらよもやペットまで……。いや、この話はやめておこう。
「小さいからって気にしなくてもいいの。全然、ほーけーよ」
「OKでしょ。なんでちょっと皮被ってるの」
「結局は相性だから。大きさが正義じゃないし。おっ◯いもそうでしょ?」
「大きいに越したことはないよ」
「殺してやる!」
彼女は血眼で首を絞めようとしてくる。緋奈の胸部は確かに可愛い。あっ、大きさが可愛い。
「冗談、冗談、ごめんね。ちょっと意地悪した。緋奈は魅力的だよ」
「ほんと……?」
急な上目遣いに言葉が出ない。
「ほら……私ってこんなんだからさ、だからもう女としては見てくれていないのかもって……。その…………ごめん、重い感じになっちゃって」
「気にしないで……それに、悪いのは勇気が出せない僕だから……」
気まずくて、どこか小っ恥ずかしい空気。それをかき消すように、彼女は手を握ってくれる。
「いつでもいいよ。ずっと待ってるから」
「うん、ごめん……」
胸が締め付けられる感覚が強くなってくる。
「必要なのは謝罪じゃなくて射精だよ? ごめんじゃなくて◯ーメンだよ?」
「うるさいなーもう、萎えるから」
「二つの意味で?」
違う。断じて違う。イタズラの仕返しと言わんばかりにニンマリと笑う。
「もうそろそろ怒るよ」
「たてるのは腹じゃなくてアソコだよ?」
「もういいよ!!」
ああ言ったらこう言うと表現するのが正しいのか、売り言葉に買い言葉とするべきか。何を言っても下ネタで返ってくる。
緋奈を家まで送って帰路に着く。疲れか、苦しさか、申し訳なさか。どっといろんな感情が押し寄せる。家に着くと、トップスのボタンを外して、締め付けていたさらしをほどく。
いつになったら、僕は彼女に本当の自分を見せられるのだろう。今まで窮屈だった胸は重力を受けて重みを感じさせる。ごめん……本当にごめん。緋奈が僕を女性だと知ったら、どうなってしまうのだろう。
僕は彼女を愛してる。
鏡に映った自分の顔。今日もまた、瞼を閉じる。
校内三大美女と呼ばれる彼女は下ネタが好きすぎる。 赤目 @akame55194
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