第2話 帝国の城下町の状況に…
城下町用に少し汚れたような庶民が着るような服を準備し、【旅人風】に着替えた。
その後、ある人物に声を掛けるべく、探しているのだが、見つからない……。
「本当に肝心な時に見つからない。」
「今日は城下町視察だと言ったのに…。」
(奴を見失うと丸一日くらい見つけられなかったりするんだよなぁ……)
その正体は……まぁ、ご存知の通り……
「おーい、ルシア?」
「はいはい。ココですよ〜?」
「近くに居たんかいッ!!!」
(なぜ、僕はツッコんでいるんだよッ!)
神出鬼没なのは昔から…もう慣れてしまった。
「今日は城下町行くって言ったでしょ?」
「もちろん、承知してますよ!ちょっと準備を…」
「え?準備って言った?」
「いえいえ。さぁ、行きましょう♪」
(ルシアが何やら企んでる雰囲気なのは気になるけど……まぁ、気にしなくても大丈夫かな。)
城内から城下町へと向かうと前とは違って賑やかな声が聞こえていた。
「これは…皆んな元気な顔になってる。」
「生き生きとしていますネ♪」
「おっ!今日は楽しんでってくれよ〜♪」
「兄ちゃん、これ持ってけ!」
できたてホヤホヤのパンを急に渡されると僕に言った。
「この国の第二王子様に感謝って事で幸せのおすそ分けってヤツだぜ!」
(えっと……なぜ知ってるんだ?)
「それはどこで知ったんですか?」
「それはなぁ……」
「ちょっと良いかしら?」
「あぃよ〜♪」
「これとこれとアレとアレで……」
「まいどあり〜♪」
徐々に客が増え始め…さっきの件がうやむやになってしまった。
「まぁ…今回は無理して聞き出さなくても宜しいではないですか?……ね♪」
(絶対に何かを知ってるな……?)
これは聞かずに探るのがベストかもしれないと思っていると他の民も僕が『商業』を考えたことを知っているようだった。
「でも…良かった。
皆んなが少しでも笑顔になってくれて。」
「これは全てノル王子の戦略が実ったのですよ!」
その後、町を歩きながら他の場所をいくつか回っていると果物屋さんが目に入った。
「あれは…果物屋さんかな?」
「そうみたいですね…かなり人気みたいですよ?」
「本当だ!…って長い行列できてない!?」
町は本当に賑わいを見せていた。まさか、こんなにも成果が出るとは予想していなかった。
「あら、坊や…こっちにおいで!」
(僕のこと……っぽいな。)
「お嬢ちゃんもおいで、おいで♪」
「おばさん どうされましたか?」
黒い頭巾を目深に被った老婆が黒いテントの中から声を掛けて来た。
実に怪しい……。しかし、誘われた以上は僕の性格上…断れなかった。
「全く…ノル様は人が良過ぎますよ?」
全くもってその通りだと我ながら思う。
ルシアが心配する理由が分かる気がするけど……コレばかりは直すのは難しいかもしれないな。
「悪い…危なかったら直ぐにテントから出よう…」
「御意。」
中に入るとテーブルに大きめな水晶のキレイな玉が一つ置いてあり、大事に使われているのが伝わった。
「おばさんはこのテントで何をしているの?」
「ヒヒヒッ…この地域では聞き覚え無いかものう」
(何だろう…そんな言われたら気になるじゃん!)
「占いと呼ばれる運命を見極めて助言をするのが、仕事なんじゃよ。」
「占い……確かバスターナ精霊国で流行っていると聞いたことがありますね……違いますか?」
「お嬢ちゃんは博識じゃね…ヒヒヒッ……」
(たまにヒヒヒッ…って笑うのが怖いな。)
占い師と呼ばれる職業で人生を占ったり、農家であれば豊作、漁業ならば豊漁だったりを占うことができるらしく…僕を見て何かが見えたらしい。
「すごい……ぜひ、占って下さい!」
「お前様は……王子だっのかぇ?」
「なぜそれを……!?」
「よーく見せとくれ……」
暫く老婆は僕をジッと見つめるとピクリともしなくなり、固まって動かなくなっていた。それから何分たったか……
「ノル王子……伝えても良いのか?」
(かなり残念な話なのだろうか…)
「もちろん。僕の未来に何か良からぬ事があろうとも前向きに人生を生きていくって決めてるので!」
老婆は占いで見えた結果を教えてくれた。
「近い将来…ノル王子に試練が訪れるじゃろう。」
「試練ですか……」
「しかし、その試練を超えて真の仲間を手にした先にノル王子が目指す未来がありますじゃぁ。」
「真の仲間に目指す未来か…。」
「あとは15になった時に手にするスキルを信じなされ……神の見技は信じた者にのみ微笑む。」
「ありがとうございます。追放の可能性を考えながらその日まで頑張って国に尽力しますよ!」
「ノル王子に幸多からんことを神レティアの加護をお示しになりたまえ!」
「ありがとうございます!」
僕らは老婆に背を向けて歩き始めた時だった…
『世界の王は誕生は近いわね……』
背後から聞こえて来た声は確かに若い女性の声に聞こえ、僕とルシアは老婆が居た場所に直ぐに振り返るとそこには……老婆もテントも消えていた。
「老婆はどこに!?」
「あんなに弱々しい体で私達が数歩移動した瞬間に消えるなど……いったい何者だったのかしら…」
ルシアはこう見えてかなり強い。殺気を感じれば直ぐに対処できるほどに…しかし、彼女が気に留めていなかった老婆が消えた……。
あの方は一体……二人は夢を見ていたかのような感覚に少し恐怖し…老婆の話は自然としなくなっていた。
その後、城に帰って僕とルシアは今日一日を振り返っていた。
「商売している人は満足いく結果だったが、他の仕事にはあまり影響が出ていなかったな。」
「そうですね…建築者や技術者や美術者と言った専門職の方々は恩恵を受けていないようですね…。」
そう、僕が手を加えたのは商売による物ばかり…他はまだ未開発なのだと思い至っていた。
「一層のこと全てを商業に組み込めれば楽なのでしょうけどね……。」
(全てを……組み込む……商業に!!?)
「それだよ ルシア!!」
「え?」
「全てを商業化して統合管理できれば…」
僕は再び頭の中で考え始めた矢先……ルシアから最もな意見を言われてしまった。
「続きは明日にしましょう。そろそろお休みになれないと身体を壊しては計画も上手くいきません。」
「うん……そうだね!ルシアの言う通りかも。」
「では、私は失礼します。」
「あぁ、付き合わせて悪かったね!お休み。」
「いぇ、お役に立てるならば…お休みなさい。」
考えを温めながら今日は動き回ったのもあり、僕はあっという間に眠りに着くのだった。
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