第31話 カロリーンはハーフオークを絶望の淵に追いやる
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2か月後、アルナウトとデートしていたら、セシリアたちと食事をするエステルに出会ったので、私は一緒に食事をすることを提案した。
エステルとアルナウトをまずは一度、会わせたかったけれど、エステルはアレに気を使って、アルナウトと会おうとしてくれなかったから、ちょうどよかったんだ。
私はこっそりと店長と店員に大金を渡して、「絶対に守るから!」って何度も誓って、店員にスープをこぼさせた。
アルナウトと示し合わしたりしなかったけど、いつもどおり失敗した者に対して優しく対応してくれた。
明らかにエステルのアルナウトに対する好感度が上がっていた。
そして、あの予言。
『神の子と彼を愛するものたちがダンジョンを踏破し、100年の国の大繁栄をもたらす。』」
『ブルースカイ』は神に認められている!
私はあの予言を知って、これまでの自分が正しいと確信した。
そして、これから行うことも正しいと確信した。
『三ツ星』はダンジョンを順調に攻略していよいよ、60階が近づいていた。
セシリアたちはエステルにメンバー増やせってアドバイスしているみたいだった。
実は、62階だけ、異様に罠と待ち伏せが多くて、斥候がいないパーティは大体、酷い目に遭うんだ。
私は養父からその話を聞いていたから、『ブルースカイ』は62階だけ、元Aランクで有能な斥候であるハンネスを雇っていたんだ。
『三ツ星』もハンネスを臨時で雇ったようだった。
斥候がいなければ、おそらく大盾を持つアレが先頭を歩いて、罠にかかって酷い目に遭うのに・・・
私はハンネスに会いに行って、『三ツ星』の依頼をキャンセルするように頼むと、
ハンネスは目の前に積まれた大金貨にあっさりと買収された。
斥候が突然いなくなって慌てたエステルは私たちに相談に来た。
「明日から、61階に初挑戦するんだけど、頼んでいた臨時の斥候が突然、行けないって言いだしたんだけどどうしたらいいと思う?」
本当に馬鹿なんだから。誰かが妨害したことを疑いすらしていない。
「62階は・・・」
セシリアが罠について語ろうとしたので、慌てて割り込んだ。
「もしハイオーガに出会ったら逃げた方がいいわよ。
魔法は効きにくいし、剣でもなかなか切れないしね。
でも、足が遅いから絶対、逃げ切れるから。」
その後、上手く話を誘導して、エステルは62階の罠のことを知らずに帰っていった。
ハーフオークめ、酷い目にあうがいい!
エステルたち『三ツ星』が61階に挑戦した次の日、私たち『ブルースカイ』もダンジョンに潜ろうとしていた。
「エステルたち、大丈夫かな?62階の罠のこと知らないみたいだけど・・・」
セシリアが心配そうに口にすると、
「ハンネスを雇ったから大丈夫だろ?」
アルナウトが何を当たり前のことをって感じで食いついた。
「ハンネスに断られて、3人で行ってるみたいよ。」
「なんだって!エステルが危ないな、助けにいってみようか。」
62階と61階の階段の近くで、一人逃げ出したエステルと出会った!
本当に罠にかかって酷い目に遭ったらしい。やった!
ハーフオークたちは死んで、エステルはただ一人生き残った!完璧だ!
アレらが戦っている現場にたどり着くと、アレ、ダミアン、ハイオーガ、レッドキャップが倒れていた。
ハイオーガを倒したのか?まさか!
それに、ダミアンは死んでいたけど、アレは右足が無くなっているけどまだ生きていた!
なんて悪運の強さなの!
エステルに懇願されると、アルナウトはアレに超級ポーションを使ってやった。
なんてもったいないことを!
アレは回復してしまい、その後、亡くなったダミアンを惜しんで泣いていた。
魔物のくせに!お前が死ねばよかったんだ!
失敗だ!
途中まで上手く言っていたのに、ダミアンと死ぬのが逆だったら完璧だったのに!
街へ帰りながら、私は次の作戦を考えていた。
街に戻ると、アルナウトは私たちに謝罪した。
「アレを回復させるために、超級ポーションを使ってしまい、申し訳ない。」
「・・・ダミアンがいない『三ツ星』では、大金貨100枚(5000万円)を返すのは無理だと思います。」
セシリアは、アルナウトを傷つけないようにだが、上手く問題を提起してくれたので、アレを酷い目に遭わせる案を披露した。
「私もそう思う。だから、お金でなく、力を貸してもらったらどうかな?」
「どういうこと?」
「正直、私たちは今、苦戦していて、出来ることなら戦力を増やすべきだと思う。
だから、エステルを『ブルースカイ』に加入させて、お金はチャラにしたらどうかな?」
私の提案にセシリアとシーラがすぐに賛成してくれた。
「カロリーン、いい案だよ!」
「エステルなら、仲間になってほしい!」
クラウディアが頭を少し傾けた。
「そんなに上手くいくかしら?エステルとリュークは恋人なんでしょう?」
「もうかなり、アルナウトに心惹かれているわ。みんな、分かっているでしょ。」
「わかった。とりあえず、アレが万全じゃない、1か月の臨時ってことで話してみよう。」
アルナウトは自信たっぷりに肯いた。
ふふふ、1か月で落としてみせるってワケね。
期待しているわ、アルナウト。
そして、ダミアンのお葬式の日に、アルナウトがアレとエステルに提案したんだ。
そして、エステルはその話にあっさりと乗った。
『ブルースカイ』に加わることになったエステルの嬉しそうな顔と悄然としたアレの落差!
凄く見ものだったわ!
ははは!
エステルが『ブルースカイ』に加わると、一気にダンジョン攻略が楽になって、
今まで苦労していた80階以上をあっさりとクリアして行った。
そんな中、日に日にアルナウトに堕ちていくエステル。
魔物を恋人と呼んでいるバカ女。
自分を悲劇の人と酔っているクソ女。
恋人とまだ別れていないのに、間男にあっさりと股を開く尻軽女。
一晩中、大きなヨガリ声を上げ続ける淫売。
私にハメられたことに全く気付いていない脳みそお花畑女。
だけど、84階を突破した後、アルナウトがそんなエステルを抱きしめ囁いていた。
「84階を突破出来たのはエステル、君のお陰だ。
宝剣を手に入れたのは君が『ブルースカイ』に来てくれたからだ。
君は俺たちの、いや、俺の幸運の女だ。
ずっと傍にいてくれ。」
その日は私が恋人の日だったのに!
『ブルースカイ』はみんな魔法を使うけれど、割と種類が異なっている。
アルナウト、風
私、カロリーン、火
セシリア、回復
シーラ、バフと光
クラウディア、風と水
そして、エステル、火
エステルの能力は私と被っていて、しかも魔法の威力も、剣技も上をいかれていた。
くやしい。
エステルを追放したりは・・・
アルナウトがエステルを嫌っても、私がどうなるかは分からないし・・・
駄目ね。なにより、『ブルースカイ』が弱くなってしまう・・・
エステルが『ブルースカイ』に加わって1か月。
仮ではなく、エステルが本当に仲間になったその時、アレがやってきた。
人の言葉を話す魔物。ハーフオーク。
だけど、エステルの心が離れていることに気付かなかったバカな魔物。
ようやく、そのことに気付いて、ハーフオークの顔が絶望に覆いつくされるのをみているとスカッとして、あっさりと殺さなくって良かったって感じたわ。
そして、アルナウトとの決闘に負けて、気がついたらエステルがいなかった時のあの顔と言ったら!
最後に私はアイツの顔に唾を吐いてやった。ざまぁ!
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