第27話 ハーフオークは大蛇と戦う
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トリクシーのお墓参りが終わったから、俺たちは領都に帰ることにしたんだけど、
せっかくだから来た経路を通らず、少し西寄りに帰っていた。
2日後、人が踏みしめたような獣道を、しかも何本も見つけた!
「ゴブリンかな?」
「アイツらの痕跡はないけどね☆」
そのまま北へ慎重に進んでいくと、目の前に10メートルほどの幅の、緩やかな流れの川が俺たちを遮っていた。
川は渡れそうになかったので、とりあえず往路にはなかったので、東方向に歩きだした。
しばらく歩くと、斥候のアレッタが手を挙げて、立ち止まった。
「人の歓声が聞こえるにゃ・・・」
「歓声?」
「子どもっぽいにゃ。」
「よし。慎重に近づこう。ディアナ、後ろにも気を付けてくれる?」
「了解☆」
見えた!
10歳くらいの子どもたちが楽しそうに、川に潜って遊んでいる?魚を獲っているのか?
ほっと気を抜いたのだが、アレッタが音もなく、走り出し、そして矢を放った!
ボン!
アレッタの矢が爆発した先は、子どもを狙っていた大蛇の顔だった!
「キラーパイソンだ!逃げろ!」
大蛇に気付いた子どもたちは全力で走って逃げて行った。
すると、大蛇は川の上を滑るように泳ぎ、アレッタを狙ってこちらの岸にやってきた!
アレッタのアローボンバーが全く効いてない!
そして、速い!
来なくていいのに!長さ10メートルはあるか?
トリクシーが呪文を唱えはじめた。
「あっ、こら。止めや!どこに、誰がいるか、分からんのやから!」
ディーが必死にトリクシーを止めた。
「ええ!せっかく呪文を唱えたのに!」
その間に、キラーパイソンは頭を高くあげて俺たちを睨んだ」!
「コイツ、毒は?」
「・・・」
誰も知らないのか!
「毒はあると思って戦うぞ!ディー、トリクシーを守れ!」
「はいな!」
「正面から俺が行く。ディアナ、アレッタ、助けてくれ。」
「「了解!!」」
ディアナとアレッタが気配を消して、音もたてず左右に散っていった。
蛇って耳があったっけ?気配を消したら見つからないのか?
ヘイトを集めるにはどうしたらいいんだ?
そうか、振動だったら間違いないな!
俺はドンドンと足音デカく、キラーパイソンの10メートル手前まで進んだ。
キラーパイソンは首を上げ、シュルシュルと舌を出し入れしながら、俺を見据えていた。
デカい!銀色の鱗が輝いている!これって魔法が効かないやつか?
ドンとメイスを地面に叩きつけるとキラーパイソンがノーモーションで大口を開けて突っ込んで来た!
慌ててよけたら、キラーパイソンのやつ、大木に頭をぶつけやがった!
バカめ!
ミシッ!
キラーパイソンのしっぽが俺を巻きつけようと鞭のように飛んできた!
「うわぁ!」
慌ててバックステップでよけると、しっぽは細い木の幹を撫で切りにしていた!
ヤバい!
一方、キラーパイソンが頭をぶつけた大木は半分くらい折れているほどの衝撃だったのに、キラーパイソンは平気みたいだ!
ヤバすぎる!
また、キラーパイソンが首を上げて、俺を睨みつけ大口を開けて突っ込んで来た!
と、左からディアナが現れて、キラーパイソンの伸ばした首を下から斬り飛ばした!
キン!
ディアナの剣が弾かれた!マジか!
「ディアナ、しっぽ!」
ディアナにしっぽが襲い掛かってきたが、ディアナはジャンプして躱すと、もう一度、キラーパイソンの背中を斬りつけてすぐに離脱した。
だけど、キラーパイソンのやつ、傷一つ、ついていない!
「リュー兄ィ、どうする?」
ディアナが近くに寄ってきて不安そうに囁いてきた。
「いざとなったら逃げる!まあ、その前に頭を潰してやるよ。ちょっと離れていて。」
「うん☆気を付けてね☆」
また、キラーパイソンが首を上げて、俺を睨みつけ、大口を開けて突っ込んで来た!
無敵だから同じパターンだ!
そのキラーパイソンの右目に矢が刺さった!
キラーパイソンの動きが遅くなった!チャンス!俺は腰を据えると、渾身の力でメイスを振り下ろした!
「うおおおおおぉ~!」
ガツン!
キラーパイソンの頭が地面に叩きつけられた!
だけど、その頭蓋骨は壊れていない!その目はランランと光っている!
うおっ!
怖くなって、俺はまた、キラーパイソンの頭目掛けて、メイスを渾身の力で振り下ろす!
「ニイヤン、危ない!」
キラーパイソンのしっぽの猛撃をディーが大盾で防ごうとしたが、吹っ飛ばされてしまった!
よくも、ディーを!
「殺す!」
ガツン!
もう1回!
ガツン!
もう1回!
ガツン!
もう1回!
ガツン!
「リュー兄ィ、もう動いていないにゃ?」
アレッタの言葉が聞こえて視界が広がった。
キラーパイソンのしっぽもピクリとも動いておらず、目も光を失っていた。
「ディーは?」
「大丈夫や、ちょっと背中を強打しただけや。」
「低級ポーションだ。早く飲め。」
ディーにポーションを押し付けると、ディーは照れ臭そうに笑った。
「ホンマに過保護なんやから。」
ディアナが近づいてきて、俺の背中をポンポンと叩いた。
「リュー兄ィ、ありがと☆それで、この蛇、どうする?」
「食べたら美味いかな、どう思う?」
その時、遠くの方から男の声が聞こえた。
「お~い、大丈夫か~?もしかして、キラーパイソンを倒したのか~?」
武装した猫人の男4人が向こう岸で叫んでいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺たちは猫人たちのカヌーに乗せられて、彼らの村に招待された。
「ありがとう。子どもたちを助けてくれて。君たちは凄く強いんだな。
あのキラーパイソンはこの辺り最強の魔物で、これまで、何人も殺されているんだ。
あいつの鱗は、魔法も剣もはじき返すのに、殺すなんて信じられないよ。
それにあの大きさのキラーパイソンが入るマジックバックを持っているなんて。
ああ、言うのが遅れた、申し訳ない。俺はこの村の村長カムナンだ。」
カムナンは40代くらい、背が180センチくらいの痩せてはいるが、嫌え抜かれたしなやかな体をしていた。
船から降りると、猫人たち50人くらいから大歓迎を受けた。
その中の一人の少年がアレッタの前に立った。
「お姉さん!助けてくれてありがとう!」
12歳くらいか、アレッタと同じくらいの背丈で、髪の毛も同じように茶色をベースに黒が混じっていた。なんか、姉弟みたいだ。
「ん。よかったにゃ。」
アレッタが自然な笑顔を浮かべた!人見知りしていない!
猫人たちばかりで、大歓迎されたからか?
その後、キラーパイソンを猫人みんなで大騒ぎしながら解体した。お腹からならなんとか刃物が通るらしい。
「素晴らしいな!鱗が全く傷ついていない!いったい、どうやって倒したんだ?」
村長カムナンに背中をバンバン叩かれた。
「頭をひたすら叩いてやった。皮と骨は無事でも、脳みそを砕いてやったからな。」
「いやいやいや、動かない奴ならわかるが・・・まあ、お前たちは凄い!
それで、申し訳ないんだが・・・キラーパイソンの肉をくれないか?
あの肉を食えば強くなるって言い伝えがあるんだ。」
「もちろん、いいよ。みんなで食っちまおう。」
「おう、ありがとう。お礼と言ってはなんだが、皮はきっちりと鞣しておくから。
キラーパイソンの鱗は軽くて、刃物を通さなくて、魔法も効かないから最高の鎧になるんだ。お前たち5人分は充分あると思うぜ。」
村長と話しているのだが、猫人の子どもたちが何故か俺を取り囲み、キラキラした瞳で見上げている~!
「ワハハ!お前みたいなデカい人は見たことないし、キラーパイソンを殺した勇者だからな。大人気だな。」
「ちょっと、のいてんか~。」
ディーとアレッタが笑いながら、子どもたちをかき分けて俺の左右にきた。
「リュー兄ィ、力こぶ。」
「お、おう。」
力こぶをつくると、ディーとアレッタが俺の両腕にぶら下がった~!
猫人の子どもたちの耳がピーンとなった!
「「「「俺も!」」」」
ディーとアレッタが自慢げに降りると、瞳を輝かせた猫人の子どもたちが次々とぶら下がってきた。
孤児院の中以外でこんな人気者になったのは初めてだよ!
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