第23話 仲間

 真剣な眼差しで、オレを見つめ返すエリナの表情を見て、オレは深く息をつき、拳を握り締めて決心した。


「実は…」


 オレは、静かに淡々と、自分の力のこと、今までの経緯、そしてエリナが持っている鉱石の欠片について話し始めた。エリナが理解できるように、慎重に、でも隠すことなくすべてを打ち明ける。


 ―――


「…と、いうことなんだ」


 オレが話し終えると、エリナはじっと黙っていた。

 彼女の表情は驚きと困惑、そして感謝の感情が混じり合っているように見えた。

 言葉を探しているような沈黙が続き、オレは少し不安になった。

 だが、その時、エリナが小さな声で言葉を絞り出した。


「…レイくん、本当にそんなことがあったの?」


 エリナはしばらく黙って考え込むように目を伏せた。

 少し戸惑った様子が見えるが、すぐにオレの顔を見上げる。

 彼女の瞳には、まだ完全には理解できていないけれど、何かを感じ取っている様子がうかがえた。


「ありがとう、レイくん…どう言えばいいかわからないけど、私、レイくんにすごく感謝してるよ」


 エリナは小さな手で胸元の結晶に触れながら、少し不安そうな顔をして続けた。


「でも…この力って、すごいけど、危ないんだよね?  誰にもバレたら…だめなんだよね?」


 その言葉にオレは静かに頷いた。

 エリナの声には、不安とともに、これから起こるかもしれないことへの警戒が混ざっている。


「そうだな…今君が突然元気になったら、他の人が不思議に思ってしまう。この力がばれてしまうと、それを利用しようとする人が現れるかもしれない…そうなると、それを知っているエリナが危険な目に遭うかもしれない」


 エリナは少し困ったような顔をしながらも、その意味をすぐに理解したようだった。

 彼女は大きく息を吸い込んで、しっかりした表情で言った。


「…わかった!  私、しばらく寝たふりしてみるよ。レイくんがそう言うなら…他の人にバレたら、もっと大変なことになるんだもんね」


 彼女のその返事に、オレは少しホッとしたが、胸の中にはまだ申し訳なさが残っている。


「ごめんな、エリナ。こんなこと頼んで…でも、今はこれが一番安全なんだ」


 すると、エリナは笑顔を見せて、小さく首を振った。


「ううん、大丈夫!  レイくんが助けてくれたから、こうして生きていられるんだもん。ちょっとくらい寝てるふりくらい、へっちゃらだよ!」


 彼女の無邪気で前向きな言葉に、オレは心の中で胸が熱くなった。エリナのその勇気に、オレは彼女の手を握り、心から感謝していた。


 ―バンッ!


 そんな時、エリナの病室のドアが勢いよく開かれた。


 オレとエリナはビックリして、音のした方に顔を向ける。

 すると、心配そうな顔をしたリュウとカイルが勢いよく入ってきた。

 二人はそのままエリナの元に近づき、怪我の様子を伺う。


 体を起こしたエリナが、オレが手を握っているのを見て、リュウとカイルは「ニヤニヤ」と笑っている。


「いや~、オレたちもエリナのこと心配してたけど、もっと心配してたヤツがいたんだなぁ」


 リュウがいやらしい表情を浮かべながら言った。


「ち、違う…そうじゃない」


 オレはエリナの手を放して反論する。


「え…じゃあ、心配じゃなかったのかい?」とカイルがからかう。


「い、いや、そうじゃないっ…も、もういいだろ…心配だったんだから…」


「はは、素直になったな。おまえ…怪我する前は「知らないよ、あんなヤツ」とか言ってたのになとリュウがニヤリと笑う。


 それを聞いたエリナは冗談めかして泣き真似をした。


「レイくん…ひどい…」


「ち、ちがうって…そうじゃない…」


「ふふ…うそだよ。あはは」


「おまえら、仲いいな」


 そんなやり取りが続く中、リュウもカイルもエリナの怪我を心配して聞いてくる。


「でも、今は無理しない方がいい。ゆっくり休んで、早く元気になることが大事だからさ」


 カイルが優しく言うと、エリナは素直に頷いた。


「うん、わかってるよ。…しばらくは、みんなに心配かけちゃったね…」


 その言葉を聞いて、リュウとカイルは顔を見合わせて同時に笑顔を浮かべた。


「そんなこと言うなよ! エリナが助かって「ほっ」としたんだからな」


 リュウは元気に拳を握りしめ、カイルも彼に続いて拳を突き上げた。


「そうそう、今はゆっくり休んでいればいいよ」


 カイルが微笑むと、エリナは思わずクスッと笑った。


「うん、もう大丈夫だよ。でもね、リュウ、まだみんなには私が元気になってることは内緒にしておいてほしいんだ」


 エリナは少し真剣な顔で頼んだ。


 カイルがその言葉に反応し、眉をひそめた。


「どうして?」


 エリナはオレをチラリと見てから、言葉を選びながら答えた。


「急に元気になったら、みんな驚いちゃうでしょ? だから、しばらくは静かにしておきたいんだ…」


 カイルはしばらく考えてから、小さくうなずいた。


「わかった。でも、何かあったらすぐ教えてくれよ」


「もちろん! それにリュウ、そんなに心配しなくても本当に平気だよ」


 エリナが明るく言うと、リュウは少しホッとした顔を見せた。


「うん、じゃあまた明日も見に来るからな!」


 リュウが元気いっぱいに答えた。


「無理しないでな」


 カイルも笑顔でエリナに優しく声をかけ、二人は病室を後にした。


 エリナはオレの言ったことを守ってくれた。

 オレはエリナに感謝し、オレも病室をあとにした。

 ドアを開けて出て行くオレを見て、エリナが一言呟いた。


「…ほんとにありがとう、レイ…」

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