第10話 初めての魔物
踏み固められた石畳が続き、周囲の木々に囲まれながらも、その整備された様子が異様な静けさを感じさせていた。遠くには、黒々とした洞窟の口が待ち構えている。
オレは冒険者たちの荷物持ちとして、彼らの後ろを歩いていた。
深い森の中、日の光が木々の間をわずかに漏れ、薄暗い道が続いている。剣士、魔術師、ヒーラー、スカウトという4人の冒険者たちは、慣れた足取りで先を進む。
剣士の名前はガレック。
外見は身長は高く、筋肉質な体格をしている。
短めの黒髪に、鋭い青い目を持つ。肩にかけた剣の鞘はしっかりとした革でできており、彼の強さを物語っている。
真面目そうで責任感が強そうだけど、ちょっと頑固そうな感じをしていた。
. 魔術師の女性で名前はリリス。
外見は薄い紫色の長い髪を持ち、目は大きく、柔らかい緑色をしている。
シンプルながらも美しいローブを着ており、魔法の道具がたくさんぶら下がっている。
結構、自由奔放な感じで、いろんなものに興味を示している。
けど、危険が迫ると冷静な判断をしていた。
ヒーラーも女性で名前は サリナ。
外見は明るい金髪をふんわりと束ね、柔らかい笑顔を絶やさない。
白いローブには花模様が描かれ、温かみのある印象を与える。
いかにもヒーラーという感じで、心優しそうな人でいつもみんなを支えている感じだ。
最後はスカウトのケイン。
外見は短い茶色の髪に、鋭い灰色の目。
軽装の革の鎧を身にまとい、常に静かに身を潜めることができる。
腰には短剣を二本持っている。
口数が少なく、いつも周囲を警戒している。
如何にも、プロって感じがする人だ。
彼らはみな、30歳に満たない若者ながら、すでに成功を収めているように見える。
オレはそんな彼らの足音に合わせて荷物を引きずるように歩き、心臓が高鳴るのを感じていた。
「おい、大丈夫か?」
先頭を行く剣士が振り返り、軽く笑った。
「緊張してるんじゃないのか?」
「…だ、大丈夫です」
オレは無理やり笑ってみせたが、正直に言うと緊張どころじゃなかった。
冒険者たちの背中を見つめながら、心の中で何度も自分に言い聞かせていた。
オレはただの荷物持ちだ、戦う必要なんかない…と。
それでも、目の前で何が起こるかわからないこの状況に、不安は拭えなかった。
冒険者たちは常に警戒を怠らず、周囲の気配を感じ取っているようだった。
彼らに比べて、オレはただ震えているだけだった。
突然、スカウトの冒険者が手を挙げて全員を止めた。
「待て、何かいるぞ」
その言葉に緊張が走り、オレの背筋が凍りついた。
スカウトは目を細め、低い声で続けた。
「あそこだ、魔物だ」
魔物…? オレの喉が渇く。
冒険者たちはすぐに戦闘の態勢に入った。
剣士が剣を抜き、魔術師は静かに詠唱を始めた。
ヒーラーは後方に下がり、戦闘の準備を整える。
オレは彼らの背後に立ったまま、ただ震えた。
木々の間から姿を現したのは、獰猛な顔つきの狼のような魔物だった。
名前は『スカーレットウルフ 』。
体毛が赤みを帯びた狼。
見た目は恐ろしいが、群れを作らないため一対一では冒険者にとってそれほど手強くない。
だが、その目は赤く光り、鋭い牙が不気味に輝いている。
体は筋肉質で、動きは素早い。
魔物が地面を蹴り、こちらに向かって突進してきた。
「来るぞ!」
剣士が叫び、剣を構える。
オレは恐怖で体が動かなくなった。
どうすることもできず、ただその場に立ち尽くしていた。
魔物が剣士に襲いかかる刹那、剣士は軽やかに一歩下がり、魔物の攻撃をかわした。
次の瞬間、魔術師が詠唱を終え、火の玉が魔物の脇腹に命中した。
炎が魔物を包み、悲鳴を上げながら苦しむ姿が目に焼き付く。
「ハハ、怯えすぎだろ」
剣士がオレを見て笑った。
「ただの狼じゃねえか、だらしねえな」
オレは言葉も出ず、足元がふらつく。
自分の無力さを痛感し、胸が締め付けられる思いだった。
戦闘は瞬く間に終わり、剣士が軽く一振りで魔物を仕留めた。
ヒーラーが淡々と剣士に声をかける。
「傷はない?」
「平気だ」
剣士は肩をすくめ、笑いながら振り返った。
「こいつは初めてだからな、仕方ないさ。次は少しは動けるようになるだろ」
オレは何も言えず、ただうつむいた。
そんなオレに気を使うように、ヒーラーが優しく声をかけた。
「怖いのは当たり前よ、誰だって最初はそうだったんだから」
その言葉に少しは救われたが、依然として不安は消えなかった。
オレはこの先、こんな状況に耐えられるのだろうか?
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