自選短歌集

雨野水月

2024年10月

暗い部屋ふいに天使が降りてきて「それ意味ある?」と僕に囁く


帰宅して何もできずに床に就く。いや寝る前にデイリー消化


この道はどこかで絶える とりあえず棚に上げよう今日も歩こう


熱狂の片隅でただ霞んでる36.5℃さんじゅうろくどごぶの灰かす


街灯が黒の布地に切れ込みを入れるおかげで無事に済んでる


すみません。よくわかりません。この次はプログラミング言語で頼む


ぬちゃぬちゃと左隣の先輩が氷を噛み砕いて飲んでる


サーバーがメンテされてる時間だけ人間として維持されている


軋む、割れる、血だらけになって歩いてる 正気なのは私だけなの?


くまさんの左肩から右足の裏にわたって撫で狂い死ぬ


いぴゃぴゃ! おい、なんだそのへんなわらいかたつられてぼくもわらっちゃ あぴゃぴゃ!


からだ中の穴という穴から這い出ていけよ私のウジ虫たちよ


風吹いて悩める岐路を切り捨てるそうだ私はカニの旅人

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