第34話 鍵を巡る追跡

エクレシオンでの激闘から数日、宗介と浅倉は銀河秩序評議会に戻り、封印の鍵を守り抜いた報告を行った。だが、アンビシャスの残党が他の鍵を狙っている可能性が高いことから、銀河全体の監視体制がさらに強化されることとなった。


「アンビシャスはまだ終わっていない。彼らが他の封印の鍵を狙っている以上、手を打つのは早い方がいい」


宗介の提案を受け、評議会は鍵の位置を特定し、そこに守備隊を派遣する準備を進めた。しかし、封印の鍵は非常に古い技術で守られているため、鍵の座標の完全な特定には時間がかかるという。


「時間が惜しいな……アンビシャスは待ってくれないだろう」


浅倉が悔しそうに呟く中、探査部隊の一人が新たな報告を持ってきた。


「宗介隊長、解析が進んだ結果、次なる封印の鍵の候補地が絞り込まれました。場所は『ラグナ星系』。そこに眠る遺跡が、古代のデータに一致します」


「ラグナ星系か……了解だ。すぐに向かう準備を整えよう」


宗介と浅倉は、探査船の整備を終え、直ちにラグナ星系へと出発した。


ラグナ星系の謎


ラグナ星系は銀河の辺境に位置し、星々がまばらに広がる静かな場所だった。だが、星系に到着すると、探査船の計器が異常を示し始めた。周囲の空間に不自然な歪みが発生しており、それが船体にも影響を及ぼしている。


「これは……何かがおかしい。重力場が安定していないのか?」


浅倉が警戒する中、宗介も周囲を注意深く観察していた。そして、遠くに浮かぶ一つの惑星に目を留めた。その惑星の周囲には、巨大なエネルギーの波が渦を巻くように漂っており、明らかに自然現象ではないと分かった。


「鍵があそこにあるのか……だが、あのエネルギーを突破しなければならない」


探査船が惑星に接近するにつれ、船体に強烈な圧力が加わり始めた。だが、最新の防御システムを駆使してエネルギーの渦を突破し、惑星の表面に降り立つことに成功した。


遺跡の中へ


惑星表面は荒涼としており、強い風が吹き荒れていた。その中にそびえる巨大な遺跡が目に入った。それはまるで城のような構造物で、外壁には古代文字が刻まれ、不気味な雰囲気を放っていた。


「この中に鍵があるはずだ……行こう、浅倉」


宗介たちは遺跡の入口に到着し、慎重に中へと足を踏み入れた。内部は薄暗く、壁一面に謎めいた模様が刻まれていた。だが、奥へ進むにつれ、何者かが先に侵入した形跡が見つかり始めた。


「やっぱり……アンビシャスが先に来ている!」


浅倉が苛立ちを隠せない声を上げる中、宗介は冷静に状況を分析していた。


「まだ遅くはない。急いで鍵の場所に向かおう」


対峙


遺跡の最深部にたどり着くと、そこには巨大な石碑が立ち、中心に光を放つ水晶のような物体があった。それこそが鍵に違いなかった。しかし、その前にはアンビシャスの指揮官ヴォルカーの姿があった。


「またお前たちか……しつこい奴らだ」


ヴォルカーは冷笑を浮かべながら鍵に手を伸ばしていたが、宗介たちの登場に動きを止めた。


「ヴォルカー、その鍵を渡してもらう!」


宗介が叫ぶと、ヴォルカーは軽く肩をすくめた。


「渡すだと?笑わせるな。この鍵こそ、銀河を変革するための道具。お前たちに渡すわけがない!」


ヴォルカーが手をかざすと、彼の周囲に無数のアンビシャスの小型機械が現れ、宗介たちに襲いかかってきた。宗介と浅倉は即座に応戦し、機械を次々と撃破していった。


「浅倉、俺がヴォルカーを抑える!お前は鍵を確保しろ!」


宗介はヴォルカーに突進し、激しい格闘を繰り広げた。一方、浅倉は小型機械の妨害を振り払いながら鍵に向かって突き進んだ。


「これで終わりだ、ヴォルカー!」


宗介が一瞬の隙をついてヴォルカーを押さえ込み、彼の装置を破壊した。その瞬間、ヴォルカーの動きが鈍り、彼の周囲の機械も次々と停止した。


「くそっ……また邪魔をされるとは!」


ヴォルカーは鍵を奪い取ることに失敗し、部下たちを連れて撤退していった。


鍵の保護


浅倉が鍵を手にし、宗介の元に駆け寄った。鍵は美しい光を放ちながら静かに輝いていた。


「やったな、宗介。この鍵は守ったぞ」


宗介は鍵を見つめながら頷いた。


「だが、これで全てが終わったわけじゃない。他の鍵も狙われている。アンビシャスを完全に止めるには、全ての鍵を安全な場所に移す必要がある」


探査船に戻った宗介たちは、鍵を評議会に送り届ける準備を整えた。そして、次なる封印の鍵を守るために、新たな目的地へと旅立つ準備を始めた。


銀河の未来


探査船がラグナ星系を離れる中、宗介と浅倉は次なる戦いに備えて気持ちを引き締めていた。


「浅倉、鍵を守るだけじゃなく、アンビシャスの計画そのものを止める方法を探さなければならない。次は、もっと深く奴らの企みを探る必要がある」


浅倉は力強く頷き、答えた。


「そうだな。俺たちの戦いはまだ続く。でも、必ず勝つさ。銀河の未来のために」


星々の輝きが二人の探査船を照らす中、彼らは新たな使命に向かって進んでいった。


銀河を守る戦いは続く――そして、彼らの決意は星々の間で輝き続ける。

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