第5話 やってくる? やって来る?

 サンタが街にやってくる


 クリスマスが近づくと、嫌と言うほど耳にする曲ですね。


 この『やってくる』って、全部ひらがなですか?

 私は十中八九、『やって来る』と書きます。小説を書いていて時々疑問に思うものの、パソコンが漢字変換してくれたら合っていると都合よく解釈していました。

 ある時、たまたま『やってくる』『やってきた』の言葉がやたらとひらがな表記になっている作品と記事を読むことが続きまして、これは確認せねばと思ったわけです。


・サンタが街にやってくる

 この『やってくる』は辞書によると動詞で、『来る』を強調した言葉なので『やって来る』と漢字で書いて良いみたいです。全部漢字にすると『遣って来る』ですが、これは滅多に見ないので使わないほうが良いですね。


・宿題をやってくる

 この『やってくる』は動詞の『やる』と動詞の『くる』を組み合わせた言葉になります。この場合の『くる』は、自動詞『やる』に接続する補助動詞『くる』です。補助動詞はひらがなで書いたほうが良いみたいです。

 私はこのケースでも漢字にしていました。


 うわあ、難しいですね!

 難しいと思っているのは私だけですか?


 文章に漢字が多いと硬い印象になり読みにくかったりしますよね。そこで漢字とひらがなの使い分けが必要になるのですが、編集や校正の分野では『漢字をひらく』と呼ぶそうです。

 今回疑問に思った『やってくる』は、本動詞ならば漢字のまま。補助動詞ならば、ひらいたほうが良いみたいです。


 えっ、そうだったのか!

 このようなルールを知らずに書いていた自作の小説を見直してみました……。

 あります、あります。何でもかんでも補助動詞が漢字になっている文章が。


 食べて来た

 見て来る

 置いて来て


『来』だけではありません。


 笑い出す

 生きて行く

 読み掛けた

 食べて見る

 眺めて居る

 そう言うことを言う


 漢字変換任せでとにかく漢字にしてしまったものが大量にありました。

『下さい・頂く』については、本業の方で『ひらがなに統一』との社内ルールがあったお陰で、小説でもひらがなで書いていたので良かったです。


★本動詞は漢字

★補助動詞はひらがな


 しっかり覚えましたよ。はい。




 国語の勉強をしっかりやっていれば、こんな事にはならなかったのでしょうか。今更ながら自分の勉強不足が悔やまれます。

 まあ悔やんでいても仕方ないので、自分が好きな小説を書くにあたっては今回調べたサイトなどを参考にして、読みやすいものを心がけようと思います。


 ここで、今回とても勉強になったサイトをご紹介します。


旅する応用言語学 日本語の本動詞と補助動詞の違いについて

 https://www.nihongo-appliedlinguistics.net/wp/archives/9143


Ateleir Bow-Wow 本動詞と補助動詞の区別に漢字と平仮名を使い分けるもの

 https://www.bow-wow.jp/sht3/pdf/031_hojodousiichirann15R5.pdf


神楽坂編集室 漢字?ひらがな?使い分けに迷ったときの7つのポイント

 https://kagurazaka-editors.jp/common-kanji-and-kana/


 他にも色々なサイトを巡って参考にさせていただきました。その中でも良く目にした大事なポイントがあります。


 用字用語の統一


 ひとつの文書・作品・ブログなどの中ではルールを決めておこうというものです。

 この「やってくる? やって来る?」で例えると、『ひらがな』と『平仮名』を混在させないようにすることです。『ひらがな』『平仮名』どちらも正しいですが、両方を使うと統一感がなくなってしまいます。『表記ゆれ』のひとつですね。


 私は国語の専門家ではありませんし国語の勉強が好きでも得意でもなかったので、動詞がどうした、補助動詞が何だと追及するのは無理です。だからせめて、作品ごとにルールを決めて書いていきたいと思いました。ひとつの作品の中でも話数が進むにつれて少しずつ変わったりしてしまうかもしれませんが、せめてせめて一話の中では統一しようと思います。

 あんまり厳しくすると書くのがつまらなくなっちゃいますから、甘々です(笑)

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