第37話

私のことを凛って呼ぶのは愛菜だけのはず。



それにさっきは不破さんって呼んでいたはず。








「どうかしましたか?




霧島先輩。」








思わず警戒する私に










「急にごめん。記憶障害があるって聞いてはいたんだけど、やっぱり俺の事覚えてないよね。」








「すみません。覚えていなくて。

私は、先輩と親しくしていたのでしょうか?」





親しくしていたなら愛菜や紗奈達も知っているはず。





そう思いながら訪ねると








「ごめん。やっぱ、今の忘れて。

引き止めてごめんね。気をつけて帰ってね。」






と意味深な言葉を残して立ち去った。












霧島先輩、






忘れて、なんて言ったくせに





なんであんなに切ない顔をしてたの?





モヤモヤしながら車へ向かった。

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