第5話

「ご存知の方もいると思いますが、不破さんは夏休みに事故に遭いました。





お怪我は完治されているようですが、



記憶障害があるそうです。




なにかと分からないことがあると思いますのでみなさんサポートをお願いしますね。」










クラスメイトの視線が一気に集まる。




けれども驚いた表情はほんの一部で、

同情、中には獲物を捕らえるような

気持ちの良くない視線が目立った。







私は立ち上がり





「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」





と一礼した。













私は不破凛としての今までの記憶がない。





親友という愛菜のことすら全然分からない。






だけど、ここで弱さを見せてはいけない。






未だに慣れないものの、不破コーポレーションの後取りという肩書があるのだから。







今まで通りの不破凛かどうかなんてわからない。






それでも所作は身体に染みついているもので、それなりの立ち振る舞いはできる。

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