第6話

受付で教えてもらった部屋へ向かうと、斉藤くんは大部屋の窓際にいた。





「斉藤くん。本当にありがとう。

こんなもので申し訳ないんだけどせめてものお礼です。」




とヒカルは先程の果物を斉藤くんに渡しながら





「あっ、サヤカも一緒に買ってくれました。」




と言わなくていいのにわざわざ付け加えた。






「玉城さん顔をあげて。玉城さんも水沢さんもわざわざありがとう。本当に気にしないでね。」



とふわりと笑う斉藤くん。







「なんでも私にできることがあったら言ってね。できる限りするから。」





と必死なヒカルに








「じゃあさ」





と手招きしこそこそとヒカルの耳元で何かを言った斉藤くん。




その瞬間、ヒカルの表情はぱぁーっと表情が明るくなる。





そんなヒカルに気づいていないのか





「なんてね。冗談だよ。気にしないで。」





と悪戯っぽくいう斉藤くん。

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