第56話

「どう?かっこいいでしょ?」

とハルのお姉さんが嬉しそうに言った。



「はい。いつも気さくなお兄さんって感じですけど黙々と作ってる姿、かっこいいですね。」


普段話している時はニコニコしているから真剣な姿を見るのは初めて。




「あとで直接本人に言ってあげて。かっこいいなんて言われたら絶対喜ぶから。」



と笑うハル。






私たちはランチセットを頼んでフミトさんを見ながら待っていた。




「人気店だけどシェフは少ないんだね。」


調理場にはフミトさんの他に2人しかいない。






「フミトさんはこの店本当に大事にしてるからさ。自分の目の届く範囲でしか人を雇わないんだ。だから姉さんも土日は時々こうして手伝いにくるんだ。」






「ハルのお姉さんはここで働いてる訳じゃないんだ。」



通りで初めてお目にかかった訳だ。







その時、


「普段は事務の仕事してるのよ。さぁちゃん、私のことは名前で呼んで?」



と料理を持ったハルのお姉さんが来た。








恐る恐る


「風夏さん?」


と呼ぶと






「今きゅんとしたわ〜。はい、どうぞ!」



と満足そうに笑ってテーブルに料理を置いて去っていった。

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