優等生ちゃん日記
筆屋富初/Hituya Huhatu
1
「は?」
真っ白なキャンバス……のようにただ白いだけの空間へ、突然やってこさせられた少女、『優等生ちゃん』。
「え、いやいや……冗談でしょ? 何もないじゃん」
そこは、白い部屋ですらない。壁も何もない。ただ膨大な白の広がる空間。
そこに存在する概念は、『白い』ということ、そして、『優等生ちゃんがいる』ということだけ。
「こんなの、何したらいいのよ……L〇Lしたいんだけど。配信しながら……創作したいんだけど……歌いたいんだけど……推しの話したいんだけど……」
キョロキョロとあたりを見渡す。
「これあれか? "精神と時の部屋"か?」
某作品の概念をふと思い出して、そう口にする。
「え? ナニコレマジで。オリジナルやれってこと? いいって、いいって……だって、僕、二次創作したいだけだよ。 僕で二次創作するのが楽しいんじゃん。 僕が公式になっちゃダメだろ」
チラチラと、誰かの顔をうかがうように目線が泳ぐ。
「公式って、クオリティ高くて、評価されてさ……グッツ化して、ファンがいて……二次創作するオタクは、公式の陰で隠れて生きてるんだよな。表に出たいって思ってないよ。思ってない。石の下の人間だもん」
はき捨てるようにそう呟く。
「でも、時々石の下から出てきて、作品をだしたりして……でも、僕の作品を評価してくれる人がいると、『怖い!』ってなって、石の下に帰っちゃうんだよね」
白髪は目を伏せる。
「アングラの創作をしてたいよな。あんまりこれ、いうべきじゃないかもしれないけど。実在する人物の二次創作とか特にタブー扱いされてるじゃん。ああいうの……狭い世界だからこそ息ができるんだよね。……しかもその中でも、特に僕しか書いてないようなものばかり書いてて、『ああ、僕ってマジで石の下の虫じゃん』ってなる」
「ねぇ、これ聞いてておもろい? 僕が一人でしゃべってるだけじゃん……誰かいないの?」
そんな声もむなしく、一面の白は、ただ『白い』であり続ける。
「だれも助けてくれない……孤独だ……」
「死のうかな」
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