第21話:成長

 朧月:「第21話:成長」を6000字以内で執筆してください。

 アルト視点。

 妹と幼馴染を助けた日から数十日が経った。

 安定して魔法を発動できるまでに成長していたが、アルトはまだまだだなと感じていた(ネガティブな感情ではなく、ポジティブな感情で)。

 特訓を一区切り付けて汗を拭っていたところに幼馴染が現れる。

 何気ない会話をしていたが、突然頬にキスをされた。

 それを見ていたセリアは無意識に不機嫌な顔になっていたのだった。



 ☆----☆


 数十日が経過した。

 あの日、妹のミアと幼馴染のカレンを助けた日から、アルトは変わり始めていた。

 日々の魔法の練習に加え、セリアの助力を借りながら少しずつ力をつけていった。

 そして今、アルトは安定して魔法を発動できるようになっていた。


「……これでいいかな。」


 アルトは裏庭でいつものように魔法の練習をしていた。

 彼の手のひらには、小さな光が静かに輝いている。

 以前は、魔力をうまくコントロールできずに失敗していたが、今では集中すれば魔法を安定して使えるようになっていた。


「もう少し強くできるはずだ……でも、焦る必要はないよな」


 アルトは、自分の成長を感じつつも、まだまだ満足していないことを自覚していた。

 ただ、以前とは違う。

 ネガティブな感情ではなく、むしろポジティブな感情で自分を見つめている。

 今は焦らず、一歩ずつ進んでいけばいいという思いが根付いていた。


「セリア、今日の練習はここまでにしようか」


 隣に浮かぶセリアに声をかけると、彼女は穏やかに頷いた。

 セリアは、いつもアルトを見守り、助言をくれる存在だった。

 彼女のサポートがなければ、ここまで成長することはできなかったとアルトは心の中で感謝していた。


『よく頑張りましたね、アルト。 あなたの魔法は確実に強くなっています』


 セリアの声はいつも優しく、アルトの心を落ち着かせてくれる。

 彼は笑顔を浮かべながら汗を拭った。


「ありがとう、セリア。 でも、まだまだだな。 もっと強くなりたいんだ」


 アルトは、これからの自分に対して期待を抱きながら、視線を遠くへと向けた。

 あの日、自分がカレンとミアを守ったことが自信に繋がっている。

 そして、その自信がさらなる成長へと繋がっているのだ。


「お兄ちゃん、すごいじゃん!」


 突然の声に、アルトは振り返った。

 そこにはミアが立っており、彼女は笑顔を浮かべながらアルトに近づいてきた。

 以前よりも少しだけ距離が縮まった妹との関係が、今のアルトには嬉しかった。


「ミア、どうしたの?」


「お兄ちゃんが練習してるって聞いてさ。 ちょっと様子を見に来ただけだよ。 でも、ほんとにすごいね、魔法がこんなに安定してるなんて」


 ミアの言葉に、アルトは照れくさそうに笑った。

 彼女が自分の成長を認めてくれることが、何よりの励みだった。


「ありがとう。 でも、まだまだなんだ。 もっと上手くなりたいし、もっと強い魔法も使えるようになりたい」


 アルトはそう言いながらも、内心では自分の成長をしっかりと感じていた。

 焦ることなく、自分のペースで進んでいくことが大切だと理解している。


 その時、裏庭の入口からもう一人の声が聞こえてきた。


「アルト、また魔法の特訓? 頑張ってるわね」


 幼馴染のカレンが微笑みながら歩いてきた。

 彼女はいつも明るく、アルトに対しても気さくに話しかけてくれる。

 あの日以来、彼女との距離も少しずつ縮まっているように感じられた。


「カレン、また見に来たのか?」


 アルトは軽く笑いながら問いかけた。

 カレンはよくアルトの魔法の練習を見に来るようになっていた。

 彼女もアルトの成長を喜んでくれているのだろう。


「そうよ。 お兄ちゃんの頑張りを応援しに来てるのよ」


 カレンは冗談っぽく言いながら、アルトに近づいてきた。

 彼女の存在が、いつもよりもアルトの心を軽くしてくれる。

 何気ない会話が、彼にとっての息抜きになっていた。


「最近、本当に強くなったわね。 お兄ちゃん、やるじゃない!」


 カレンが明るく笑いながらアルトに声をかけると、アルトは少し照れくさそうに頭をかいた。


「まあ、練習してるからね。 でも、まだまだだよ」


 アルトの言葉に、カレンは微笑みを浮かべながら、突然アルトの頬に軽くキスをした。


「えっ……」


 アルトは一瞬、何が起こったのか理解できなかった。

 頬に触れた彼女の柔らかな唇の感触が、まだそこに残っているようだった。


「な、なんで……」


 驚きのあまり言葉が出ないアルトに、カレンは無邪気な笑顔を浮かべた。


「お兄ちゃん、いつも頑張ってるからね。 そのお礼よ」


 カレンの言葉に、アルトの心臓がドキドキと高鳴るのを感じた。

 頬が熱くなり、どう反応していいのかわからなかったが、彼女の言葉には特別な意味があるわけではないようだ。


「そ、そんな……お礼なんて、いらないよ……」


 アルトは戸惑いながらも、少し照れた表情で返事をした。

 カレンの何気ない行動に、彼の心は不思議な感情でいっぱいになっていた。


 しかし、そんな二人のやり取りを見ていたセリアが、いつもと違う様子を見せていた。

 彼女は少し離れた場所からじっとアルトとカレンを見つめていたが、その顔には明らかに不機嫌な表情が浮かんでいた。


「セリア……?」


 アルトがセリアの顔に気づき、彼女に声をかけたが、セリアは無言のままふっと目を逸らした。

 彼女の顔が不機嫌そうであることに、アルトは戸惑いを覚えた。


「……どうしたんだろう、セリア?」


 アルトは心の中で首をかしげながら、カレンに視線を戻した。

 彼女は何も気づかず、いつも通りの明るい笑顔を浮かべている。


「じゃあ、また今度ね。 お兄ちゃん、練習頑張って!」


 カレンはそう言って軽く手を振りながら、裏庭を去っていった。

 アルトは彼女の後ろ姿を見送りながら、まだ頬に残る感触をぼんやりと感じていた。


「……本当に、どうしたんだろう?」


 アルトは改めてセリアの方を見た。

 セリアはまだ不機嫌そうな顔をしていたが、彼女の気持ちが何なのか、アルトにはすぐには理解できなかった。

 ただ、セリアがこんな表情を見せるのは珍しいことだった。


「セリア、何かあったの?」


 アルトが優しく声をかけると、セリアは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに表情を戻し、少しだけため息をついた。


『いえ、何でもありません……』


 そう言いながらも、セリアの声にはどこか釈然としないものが感じられた。

 アルトはその様子に少し困惑しながらも、セリアの気持ちに気づいてあげられない自分に無力さを感じた。


「……セリア、本当に大丈夫?」


 アルトが再び問いかけると、セリアは少しだけ微笑んで答えた。


『大丈夫です、アルト。 ただ……これからも、私はあなたを支えるためにここにいるということを忘れないでくださいね』


 セリアの言葉に、アルトは小さく頷いた。

 彼女の存在が、いつも自分を支えてくれていることを感じながら、アルトは心の中で感謝の気持ちを改めて抱いた。


「もちろんだよ、セリア。 これからも、ずっと僕のそばにいてくれ」


 アルトのその言葉に、セリアは静かに頷き、微笑みを浮かべた。

 しかし、その笑顔にはまだ少しだけ影が差しているように見えた。


 アルトはその表情を心に留めつつも、彼女の思いをしっかり受け止め、これからもセリアと共に成長していくことを誓った。



 ☆----☆


 お読みいただきありがとうございます!


 カレンの言動が分からない……。

 アルトを困らせるための「お兄ちゃん」呼びなのか、ミアが居るのを分かっていて挑発するためにそう呼んでるのか……。

 意図が全く読み取れない(汗)


 あとアルト、セリアに確認しすぎw

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る